- 日本でもファンが多い“韓流時代劇”、最近は人気俳優が主演を務めるロマンス時代劇が増えている。
- その影響もあり、かつては劇中でよく見かけた、男性たちの“髭”が消えつつあるよう。
- しかし朝鮮王朝時代は「髭は男らしさの象徴」とされ、髭の生えていない成人男性は見下されることもあったという。

日本でも人気の韓国時代劇の名作『イ・サン(2007)』(画像出典:MBCドラマ)
韓国ドラマファンに人気の高い、“韓流時代劇”。
日本でもよく知られる名作といえば、『宮廷女官チャングムの誓い(2003)』『イ・サン(2007)』『トンイ(2010)』などが挙げられる。
しかし、近年の韓国ドラマ界では、本格派の時代劇よりも、フュージョン時代劇や仮想人物が登場するフィクション時代劇がブーム。登場人物も、威厳のある歴史上人物よりも、韓服姿が美しい世子や王様が主人公となった作品が増えている。
そのため、ここ10年ほどで、韓国の時代劇や歴史ドラマから消えつつあるものがある。
それは、“髭”。かつては、男性主人公にも髭があったが、最近は主人公以外でも、若い男性で髭のある登場人物を探すのが難しくなったという。
例えば、『太陽を抱く月(2012)』のキム・スヒョン、『雲が描いた月明り(2016)』のパク・ボゴム、『赤い袖先(2021)』のイ・ジュノなど、ヒット作の主人公は、みんなお肌がつるつる。
これは、ロマンス時代劇の人気も影響していると考えられる。たしかに、若い俳優たちに髭はどこか違和感があり、ロマンス展開のじゃまにもなり兼ねない。
最近の時代劇では、俳優のキレイなビジュアルを引き立てようという思惑が感じられる。

KBS2『雲が描いた月明り(2016)』で世子を演じた、パク・ボゴム (画像出典:KBS2 Instagram)

MBC『赤い袖先(2021)』で国王を演じた、イ・ジュノ(画像出典:MBC)
日本の時代劇では、髭は年齢を重ねたことを表し、威厳を見せるためのアイテムとして使われることが多い。
手入れされていない髭面になれば、身なりを気にしていない、それだけ落ちぶれた状況であることを視聴者に印象付ける。
それは韓国ドラマでも同じようだが、韓国は、朝鮮時代まで「髭は男性らしさの象徴」として受け入れられていた背景がある。
朝鮮時代には「髪と髭を切らないことが親孝行の始まり」という哲学のため、髭に対する認識が今とは大きく違っていたようだ。
昔は「髭がないなら、将来結婚できない」などと髭のない男性を見下し、なかなか髭が生えなかった人は“男”とは認められず、ひどくからかわれ、大きなコンプレックスを抱えていたという。そのため、男性は若い頃から髭を伸ばした。
つまり髭は、成人男性の社会的特権を示す、顕著な象徴だったのである。
また、髭には多様な形があり、上位階級の貴族は、その形の美しさで国王の寵愛を受けることもあったという。
彼らは椿油を利用して髭を整え、髭をとかすために、専用の櫛を使うほど。髭を大切にするあまり、外出時には髭を包む絹の袋を利用して保護する人もいたそうだ。
当時、美しい髭の男性たちは人々から羨ましがられ、髭は男性らしさを誇る支配的な象徴でもあった。
最近の韓国時代劇では見る機会が減っている、“髭”。
朝鮮時代、負け組(?)と見下された髭のない成人男性たちが、国王や貴族として活躍する作品が今の主流となっているのは、ある意味興味深い。
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