• MBCの新作ドラマ『恋人』に、約19年前韓国中を震撼させた性暴行事件の加害者とされる男性が出演することが分かり物議を醸した。
  • すでに同テレビ局が公式コメントを発表して措置を取ったが、いまだ議論は続いている状況。
  • 韓ドラ界史上最悪と言われる、おぞましく痛ましい出来事の全貌を紹介する。
ナムグン・ミンは、世間を騒がせているMBCの新作ドラマ『恋人』で主演を務める

世間を騒がせているMBCの新作ドラマ『恋人』で主演を務めるナムグン・ミン(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

約19年前に韓国で起こった“エキストラ女優性暴行事件”が、再び世間を騒がせている。

今年下半期に放送を予定しているナムグン・ミン主演の新作ドラマ『恋人』に、当該事件の加害者とされる人物がエキストラ業務と関連して現場に復帰していることが分かったためだ。

これに被害者の母親をはじめ、国民の多くが猛反発。

5月4日、本作の放送局であるMBCが、「視聴者の意見と憂慮を鑑みて、制作現場への参加を禁止したほか、万が一の立ち入りを徹底的に排除するため(加害者とされている男性が所属する)業者との契約も即時解除することに決定した」と発表し、議論は収束するかに見えたが、いまだ物議を醸している。

それもそのはず、同事件は韓ドラ界“史上最悪”と言われるほどの惨劇だった。

事の発端は2004年8月に起こった性暴行事件。アルバイトでエキストラをしていた女性が、所属するグループの班長を含む4人から性暴行を、8人から強制わいせつを受けてしまう。

このため同年12月、被害者女性は彼らを告訴しようとソウル永登浦(ヨンドゥンポ)警察署を訪れるのだが、ここでも残酷すぎる出来事が。

担当警察官による2次被害に遭ってしまったのだ。聞き取りや調査が行われる過程で、加害者の性器を描くよう指示されたり、簡易的なパーテーション越しに男性らとの対面を要求されたりしたという。

さらには、お酒に酔った状態で入ってきた警察官から、暴言を吐かれセクハラまでされたこともあったのだとか。

被害者にとっては頼みの綱であっただろう警察からもひどい仕打ちを受け、辛い体験をしながら必死の思いで告訴したのだった。

しかしなぜか2005年7月に告訴を取り下げてしまう。韓国メディアのSBSニュースによると、加害者家族による脅迫が理由だという。

裁判の段階で、家に火をつけるや、家族を殺害するといった内容の脅しに耐えられなくなってしまったそうだ。

こうして大きな傷跡を残したまま、この事件は刑事上終結を迎えた。

そんな中2009年8月に被害者女性が飛び降り自殺。彼女にエキストラを勧めた妹も、姉と同じ方法で数日後に自ら死を選択した。

愛娘2人を立て続けに失った父は、その衝撃で2カ月後に脳出血で死亡。母親はたった1人で今もなお、家族を失った苦しみと加害者に対する怒りに震えながら毎日を過ごしているという。

帰らぬ人となった姉妹。写真は十一回忌に撮影されたもの

帰らぬ人となった姉妹。写真は十一回忌に撮影されたもの(画像出典:韓国オンラインコミュニティー)

一度告訴を取り下げているため、刑事裁判では再度罪を問うことができず、2015年に母親が加害者を相手取って民事裁判を起こし損害賠償請求を行ったが、残酷にも原告敗訴という判決が下された。

この時裁判所は、「証人の証言と当事者の事情聴取の結果などによると、(被害を受けたとされる)Aさんが強制わいせつなどの性暴行を受けた可能性がある」と判断。

しかし、性暴行からは約9年6カ月が、自殺からは約4年6カ月が経過していることを理由に、「民法が規定する3年という消滅時効を過ぎてからの提起は受け入れられない」とのことだった。

2013年10月の時点で、加害者とされる12人のうち7人がエキストラ業界で活動を継続。韓国メディア・ハンギョレ新聞は、彼らが事件当時とは別の芸能事務所の役員や班長をしていると報じた。

全国エキストラ出演者組合はこの状況に対し、「地上波3社(KBS、SBS、MBC)に、彼らが属している芸能事務所に対する管理・監督の強化を促す公式文書を複数回送ったが返答がなかった」という。

ところが冒頭で触れたように、今回MBCが加害者の1人を制作から外すと明言、彼が属する事務所との契約解除を発表した。

今後この事件は、どのような展開を見せるのだろうか。痛ましくおぞましい出来事が、二度と起こらないことを願うばかりだ。

西谷瀬里

韓国ドラマが大好きな西谷です。現在はK-POP関連の記事を主に投稿しておりますが、韓ドラの魅力や、俳優&女優さんの活躍も随時紹介していきたいと思います。あらゆる年代の読者の方に、楽しんでいただける記事が届けられたらなという思いです。

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