韓国ドラマに登場する男性主人公。これまでは「チャドナム」と呼ばれる、クールで都会的な雰囲気を持つスタイリッシュなキャラクターが人気を集めていた。しかし、最近ではこれとは違う、どこか抜けている”完璧ではない”男性主人公が好まれているという。
韓国ドラマに登場する男性主人公。韓国ではこれを省略し、”男主”という言い方をしているそうだ。
数多くのドラマで”男主”は視聴者の心をときめかせ、多くの熱い支持を得る好感度ナンバーワンのキャラクターとして愛されている。
これまでの”男性主人公”は
これまでの韓国ドラマ界で”男主”と言えば、「チャドナム」と呼ばれる、クールで都会的な雰囲気を持つスタイリッシュなキャラクターが多かった。SBS『シークレット・ガーデン(2010)』で俳優のヒョンビンが演じたキム・ジュウォンがまさにそれだ。
近寄りがたい雰囲気があるものの、いざという時には命がけで助けてくれる、そんなギャップに視聴者は心をときめかせていた。
しかし、最近では、”男主”キャラクターが多様化しているという。
韓国メディア・韓国日報はこれを「ハンサムなビジュアルに優れた能力、明晰な頭脳と富まで兼ね備えた男たちの代わりに、どこか物足りない彼らが女性主人公の隣を占めている」とし、近年公開されたドラマの”男主”について分析している。
最近のドラマに登場する”男主”キャラクターは
最近の作品を見ると、無邪気、素直な性格といおうか、どこか抜けている男性像が人気のよう。
まず、11月8日よりスタートしたコミック時代劇、tvN『御史とジョイ』。
ここで2PMのテギョンが扮する”男主”ラ・イアンは、思わず背中を押されて御史になる、見かけ倒しの美食家だ。第1話から、どこか頼りなさげな雰囲気を面を見せ、視聴者の視線を独占している。
また、最近放送を終えたtvN(TVING)『ユミの細胞たち』では、俳優のアン・ボヒョンが”男主”として登場。
彼が演じたク・ウンは、”Yes or No”のアルゴリズム回路で動くゲーム開発者であり、突拍子もない姿やもどかしい一面があるものの、正直者で繊細な魅力を持つ人物。
そして、日韓で絶大な人気を得たtvN(Netflix)『海街チャチャチャ』のホン班長こと、ホン・ドゥシク。
俳優のキム・ソンホが演じるホン班長は、あらゆる資格を持ちながらも気ままに生き、ストレートな物言いと屈託ない笑顔、情にもろく、親切心に溢れたキャラクターだ。
シリアスな面よりもコミカルなシーンが多く盛り込まれ、視聴者に親近感を抱かせた。
最近のトレンドは、天然キャラ?
ここまで見ても、人気を誇るドラマの”男主”はみな、素直で天然さを持ったキャラクターだ。
同メディアはこれを「ドラマの男性主人公たちは”完璧”とは程遠かったが、視聴者たちは熱い反応を見せた」とし、高視聴率をはじき出し、さらにはシーズン2を予告するほどの話題性を得たことを伝えている。
また、同メディアは「よく”完璧な人はいない”と言う。短所のない男性主人公と女性主人公のロマンスにときめきを感じても、共感できない理由だ」とし、「これまでのキャラクターはあまりにも非現実的だった」と分析。
続いて「しかし、『御史とジョイ』のラ・イアン、『ユミの細胞たち』のク・ウンは違った。完璧ではなかったため、さらに魅力的だった」とし、「ネットユーザーたちは、現実的なタイプのキャラクターに少しずつ浸透し、自分が恋愛をしているように共感した」と説明している。
どこか抜けている‥しかし、スペックは最強
完璧な男性像が敬遠されているのかと思われるが、そうではない。天然系男子たちはみな、実はハイスペックの持ち主なのだ。
『御史とジョイ』のラ・イアンは、科挙(官僚登用試験)でトップ合格を果たし、朝鮮最高のエリートコースである”弘文館”の管理職、『ユミの細胞たち』のク・ウンは人気職のゲーム開発者の理系男子。また、『海街チャチャチャ』のホン・ドゥシクはソウル大学出身のエリート証券マンだった。これに加え、彼らは揃いも揃って”イケメン”でもある。
つまり、親近感の得られる天然系キャラクターでも、職業やルックスなどは”チャドナム”同様にすべて高スペックであるのだ。
同メディアは最後に「ドラマや映画の中に常に存在した”完璧な男性主人公”という古い設定は、変遷期を迎えている」とし、「今日では、完璧ではない主人公たちの中途半端な恋物語が、大衆の心にさらに大きな響きを与えているようだ」と締めくくっている。
ハイスペックでありながらも、どこか物足りないところが魅力の、親近感あふれる”男主”がこれからのトレンドとなりそうだ。
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