良質なストーリーが多い韓国ドラマ。作家の手腕がそのまま反映されるとあって、完璧なまでの巧みな描写が評判を呼んでいる。一方で、シナリオの奥に見える深刻な問題もあるようだ。
ジャニーズ事務所の人気グループ、関ジャニ∞の大倉忠義が、韓国ドラマのリメイク作品で主演を務めるとある日本メディアが報じた。
だが、今夏オンエアを予定していたものの、新型コロナウイルスの影響で放送は先送りとなってしまったようだ。
同メディアの報道によると、彼が出演する予定だったドラマ原作は、2018年に韓国でも大ヒットとなったtvN『知ってるワイフ』。
ドラマ『被告人』(2017)、『キルミー・ヒールミー』(2015)で熱演を披露したチソンと、『イ・サン』(2007)で一躍トップ女優の仲間入りを果たしたハン・ジミンが主演を務める、ファンタジー・ラブコメディだ。
結婚5年目を迎えた夫婦。
仕事に追われ疲れ果てていた夫ジュヒョク(チソン)は、帰宅すれば妻からの罵倒が待ち受けていることにウンザリしていた。妻のウジン(ハン・ジミン)から見れば、共働きであるのに家事や育児を押し付けてくる夫が憎たらしくてたまらないといった具合で、共に生活に疲れている様子だ。
そんなある日、美しいままの初恋相手と再会したジュヒョクは、”もしあの時に戻れたら‥”と願わずにはいられないようだった。ひょんなことからその願いが叶えられ、過去にタイムスリップしてしまう。そこで新しい人生の選択をしたジュヒョクだが‥。
過去にタイムスリップし、もうひとつの人生を選択することで巻き起こる夫婦模様をコミカルに描いた本作とあって、リアリティあふれるシーンにお茶の間から多くの共感を得ていた。
ドラマが描く”リアルな結婚生活”
本作のキャッチフレーズは”いま愛している人と暮らしていますか”という問いかけだ。
お互いに愛し合い、慈しみ合い、キラキラと輝く結婚生活を期待して結ばれた二人。
だが、”結婚”とは日常の延長線上にあり、生々しいほど現実的な生活が待っているものだ。時間が経つにつれ、環境や感情も変化するし、喜びも不満も同時に積もっていく。時間に追われ、全てに疲れが溜まる頃、人は「あの頃の輝きはどこへ」と振り返るものなのかもしれない。
本作もまさにそうで、「こんなはずじゃ無かった」、「あの時にあの人と結婚していれば」と夫のジュヒョクは日々感じていたのだろう。その後、タイムワープで新しい人生を経たことで、これまでの自身を反省し、妻がかけがえのない存在だと気づく。
結婚生活でおろそかになりがちな、相手への”感謝”の気持ちを忘れないというメッセージが込められているかのようだ。
随所に見られる、男性のファンタジー
このように反省する男の姿を見せてくれるようだが、一方で、男の視点から成り立っているとの手厳しい指摘もある。以前同ドラマへ辛辣な批評をしたハンギョレ新聞(韓国)の記事を織り交ぜ、このドラマが取り上げるある種の”夫中心の視点”と”男性のファンタジー”を確かめておきたい。
その代表的な例が、劇中で描かれた”夫のゲーム機を壊す妻”の図だ。
ストーリーを見ればなぜ壊したのか理由がわかると思うが、このシーンには”男の大切な趣味を理解できず、愚痴をこぼす女”という”女性嫌悪”の構図が描かれている。
また、他の人生を想像するファンタジー世界でも、夫の視点が中心となっている。
新しい人生での妻への愛情や態度も、夫は独りよがりで身勝手な見解で進めているのだが、他人となった元の妻ウジンに対してもおかしな態度を見せている。
不愉快に接したかと思えば奥ゆかしい眼差しで見つめ、時折、自分の本質を見透かすように親しい言葉を投げかける‥。このようなジュヒョクの態度は、先輩や先生、上司など関係優位にある既婚男性の曖昧な態度が若い女性たちの感情をしばしば混乱させる、まさにそのもののようだ。
既婚男性たちが職場で会う女性たちに”兄貴ファンタジー”を実現したいという欲望や、そのような精神的な支配と撹乱を”愛”と錯覚する女性たちを見ているようだとの意見もあるようだ。
仕事を優先し、家庭を顧みなかった夫の”ファンタジー”がふんだんに含まれたとの見解も受けるドラマだが、日本リメイクではどのようなコミカルさでお茶の間に笑顔を届けるのか、期待したいところだ。
怒りが爆発しゲーム機を・・(動画出典:tvN DRAMA)
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