日本の韓ドラファンから熱い視線が集まっているtvNドラマ『謗法(ほうぼう)~運命を変える方法~』。日本でも放送スタートを予定しており、インターネット上でも話題を集めている作品だ。ここ数年、韓国ドラマのトレンドである、”毒を以て毒を制す”ならぬ”悪を以て悪を制す”といったスタイルで展開されるという。
日本での放送や配信が続々と決定している韓国ドラマ。
その中でも、韓ドラファンが注目する次なる作品は、tvN『謗法(ほうぼう)~運命を変える方法~』(以下、謗法)だ。今月12日深夜(26時40分~)よりフジテレビ系列で放送がスタートするとあって、現在、ネット検索のトレンドにも上がっている。
このドラマは、漢字の名前、写真、所持品で死に至らしめる呪いの能力”謗法(ほうぼう)”を持つ10代の少女ソジンと、正義感あふれる社会部記者イム・ジニが、IT大企業の背後に潜む巨大な悪に立ち向かっていく姿を描いたスリラードラマ。
日韓で大ヒットとなった映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督が初めてドラマ脚本を手掛けた作品で、呪いの能力を持つソジン役を、映画『パラサイト 半地下の家族』で裕福なパク家の長女を演じたチョン・ジソが、その相棒である社会部記者イム・ジニ役をtvN『産後養生院』のオム・ジウォンが扮している。
キャストやスタッフの名を聞いただけでも期待感が高まる作品だが、本作の見どころは何と言っても「巨悪を倒すのは”悪”である」というダークなスタイルだろう。
クリック1つで憎悪心を露出できる現代社会。オンラインとオフラインを行き来する悪口やいじめによって、多くの人が洗い流せない傷を受け、さらには人生を諦める人もいる。目に見えない暴力は人々の理性では制御できない状況に置かれているのが現状だ。
このような時代でも、正直な信念と行動だけで悪に勝てると信じていたイム・ジニだったが、横暴な権力の前では無力感と憎悪を同時に感じてしまう。そんなイム・ジニの前に呪いの能力”謗法”を持った少女ソジンが登場し、イム・ジニは普通の常識では理解できない奇妙な事件と出くわすことになる。人間の抱いている呪いの心を利用しようとする巨悪に、2人はどのように立ち向かうのか。
ドラマ『謗法』予告編(動画出典:tvN DRAMA)
韓国ドラマのトレンドは「毒を以て毒を制す」
最近、韓国ドラマでは、”悪を持って悪を退治する”というストーリー展開、つまり”毒を以て毒を制す”作品が多く見られている。
これまでのドラマでは”善悪”が明確であったが、『謗法』をはじめtvN(Netflix)『ヴィンチェンツォ』やtvN『マウス』ではその境界線が曖昧になっている。
退治するために最善策である”善”、つまり正義なのだが、それでは裁ききれない巨悪に立ち向かうため、次善策である”悪”を持って挑んでいるのだ。
巨悪を退治するという意味では”善”なのかもしれないが、方法は”悪”でしかない。よって、正義のようであっても完全なる正義ではないということになる。
『ヴィンチェンツォ』もイタリアンマフィアのコンシリエーリ(組織の相談役)と弁護士がタッグを組み、悪党らしいやり方で巨悪に立ち向かっている。
また、サイコパスをテーマにしているイ・スンギ主演の『マウス』は、正義感あふれる好青年警察が、ある事故によって追っていた悪と同じ環境になってしまう。サイコパスの心を得たことで悪の心理を読み解けるようになったが、悪の衝動に襲われてしまうようになる。前述した作品とは少々異なるものの、”悪”の力を得て、それを利用し解決策を見出してる点から言えば、同じようなニュアンスを含んでいる。
正義=白、巨悪=黒だとすれば、それが交じり合う”グレー”こそが彼らの成し遂げている悪なる”正義”なのだろう。
それぞれの割合によって、彼らのやり方がダークグレーであったりライトグレーへと変化しているが、どちらにせよ絶妙なバランスを保っている。
人々を救うために”正義”を全うする。その為には悪をも用いるといった、複雑な人間心理が反映されているようだ。
どのドラマも考えさせられる重いテーマを抱え、予断を許さない展開を見せているが、没入感を高めるテンポの良いストーリーと優れた演出で披露することにより多くの視聴者を魅了している。
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