現在、韓国で視聴率が20%を超える人気を見せているSBSドラマ『ペントハウス』。豪華女優陣が主役を彩ることで話題を集めたが、脇を固めた女優シン・ウンギョンの迫真の演技にも注目が集まっている。
*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。
韓国にてじわじわと人気を集めているSBS月火ドラマ『ペントハウス』。
本作は、最高の眺めと優れたプライバシー保護で多くの資産家に愛され続けているペントハウス、いわゆる富裕層や勝ち組が住む住商複合マンションーーヘラ・パレスを舞台に、子どものためならあらゆる苦労をいとわず、頂上に向かって疾走する3人の女性たちの歪んだ欲望と不動産の成功を描いたストーリーだ。

3人の女性たちの歪んだ欲望と不動産の成功を描いたドラマ『ペントハウス』ポスター(画像出典:SBS)
韓国ドラマのお家芸とも言える泥沼劇を展開する本作は、放送開始直後は一桁台の視聴率であったのだが、回を重ねるごとに上昇し、物語の中盤を迎えた現在では20%台を記録している。
ドラマの魅力は何と言っても、上層だけを眺めながら上へと上がろうとする人間の果てしない欲望を刺激的に描いている点だろう。

劇中、カン・マリ役を演じる女優シン・ウンギョン(画像出典:SBS)
本作は主役である3人の女性をはじめ、パイプ役である助演キャラクターにもドラマの醍醐味が隠されている。特に、女優シン・ウンギョンが演じるカン・マリなるキャラクターの持つインパクトは主役級かもしれない。
“汚く稼いできれいに使う”を人生のモットーにしているカン・マリ。夫がドバイで事業を営んでいるため、現在は最愛の娘ユ・ジェニと暮らしている。実は、高級サウナで”垢すり”をしてお金を貯め、富の象徴であるヘラ・パレスに入居した人物だ。ドバイにいると知られた夫も実は、犯罪により現在刑務所にいる。
その性格は非常に計算的で冷徹だ。心の中では*金のスプーンを非難してるが、外では*土のスプーンを見下しているという裏表な面もある。自分より少しでも下の人間はすべて見下し、自身のストレスを家政婦や運転手をバッシングすることで晴らす。また、聖書を持ち歩くことで敬虔なプロテスタント信者を演じるなど、その行動は浅はかさと傲慢さを含んでいる。しかし娘のことになると真逆で、娘のためならば罪をも犯せるほどの溺愛を見せている。
*金のスプーン‥親が持つ財力のおかげで経済的に恵まれている人。
*土のスプーン‥親の資産で金、銀、銅スプーンと分け、それにも入らない最下層を指す。

ドラマ『ペントハウス』で娘を溺愛するカン・マリ役を引き受けたシン・ウンギョン(画像出典:SBS)
まさに他人を非難する時に言う言葉がそのまま自身に適用されるような悪女であるカン・マリだが、ドラマが進むにつれメッキが剥がされ、正体がひとつずつ明らかになっていくのだ。
このような癖のあるキャラクターを完璧に演じているシン・ウンギョンも、カン・マリと同じ匂いのする過去を持っている。
1987年に子役として芸能界入りしたシン・ウンギョンはその後、ボーイッシュではつらつとしたイメージを放ち、ハイティーンスターとして人気を博していた。しかし人気絶頂だった23歳の時、無免許飲酒運転でひき逃げ事故を起こしてしまい、芸能界からその姿を消してしまった。
しかしその翌年、工場で働く純真な女の子が娼婦になるまでの人生を描いた映画、イム・グォンテク監督作『遊ぶ女(原題)』で破格的な露出まで甘受しながら演じ切り、再起に成功した。迫真の演技が認められ、同年の『青龍映画賞』で主演女優賞を受賞している。この作品を機にハイティーンスターから演技派女優として位置づけられることになった。

『遊ぶ女(原題)』出演当時のシン・ウンギョン。この映画で『青龍映画賞』主演女優賞を受賞した(画像出典:movie.naver)
その後、ドラマや映画を行き来し女優として活躍を見せていたが、所属事務所との金銭トラブルや、自身の借金問題で「1本のドラマに出演すれば返済できる」といった見えを張った発言で世間を騒がせ、自ら好感度を下げてしまったことも。
順風満帆とは言えない波乱に満ちた過去を持つシン・ウンギョンが、ドラマ『ペントハウス』でカン・マリというキャラクターを演じているのは何とも皮肉である。だが、彼女の半生や世間の持つ見栄っ張りであるイメージがキャラクターとも重なり、さらに持ち前の演技力が加わったことで説得力が増しているのも事実だ。
実はアンチが多く、凶悪な演技が多いことからイメージが強く見えるが、ドラマ『白い嘘』や『母さんに角が生えた』のように善良で優しい姿の演技も上手な女優だ。シン・ウンギョンのファンはインパクトのある悪役もいいが、あのような優しい役に戻って素晴らしい演技を見せて欲しいという願いもあるようだ。
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