大ヒットドラマの主人公の幼少時代を演じる子役俳優たち。現在もテレビや映画で活躍する姿を目にする俳優や女優もいれば、名前を聞かなくなってしまった人たちも。そして、輝く場を別の場所に移し、今も役者として活躍している人たちが存在する。
2003年に放送されたSBSドラマ『天国の階段』は、最高視聴率43.5%を記録した大ヒットドラマだ。KBS『冬のソナタ』ですでに人気を確立していた主演女優チェ・ジウには”涙の女王”という称号が与えられ、共演した主演俳優クォン・サンウも瞬く間に韓流スターの仲間入りを果たした。日本でも韓流ブームの人気に一躍買った代表的ドラマだが、このドラマがここまでの人気になった理由の1つに、主人公の幼少時代を演じた子役たちの演技の上手さがある。
一部の韓国ドラマファンの間で有名な、”韓国ドラマ 4話までの壁”というジンクス。たとえドラマの序盤が面白く感じなくても、4話までは我慢してみてみる。すると、しだいに話が面白くなり、最後まで見続けることができるというものだ。『天国の階段』はそんなジンクスとは無縁で、序盤から子役たちの名演技が光り、最初から最後まで飽きることのないドラマだった。
このドラマで女優キム・テヒが演じたハン・ユリの幼少時代を演じたパク・ガリョン。女優チェ・ジウが演じたハン・ジョンソの幼少時代を演じたパク・シネに対し、敵対心をむき出しにしながら、母親と一緒にジョンソをいじめるヒール役を怖いほどうまく演じていた。放送当時は、新人女優だったキム・テヒよりも質の高い演技力で視聴者から好評を得るほどで、今後の活躍にも期待がかかった。
しかし、パク・シネは現在もテレビや映画で活躍する人気女優に成長した一方、パク・ガリョンはこのドラマ以降、テレビで目立った活躍を見ることはなかった。子役俳優たちにとって最大の悩みとなるのは、子役イメージの払拭だ。特に大物俳優の幼少時代を上手く演じた子役ほど”子役出身”という肩書きをなくすことが難しい。自分の名前より先に、誰かの子役という修飾語がついて回ることになるのだ。
パク・ガリョンは以前、あるメディアのインタビューで「必ずしもメロドラマに出演してこそ大人の役者になるということではないと思う。自然に変化する姿を見せるのであって、人為的にそうする必要はない。比較的子役という肩書きに気を遣わず、気楽に成長してきた」と子役に対する固定概念について自分の考えを述べたことがある。
そう語っていたパク・ガリョンにもスランプが訪れた時期があった。子役時代に使っていた名前「パク・ジミ」から「パク・シヒョン」と名前を変え、大幅なイメージの払拭を試みた。2011年、パク・シヒョンの名前でSBSドラマ『千日の約束』に出演。しかしそのドラマ以降、彼女をテレビで見ることはなくなってしまう。
そんな彼女は現在、パク・ガリョンという芸名で活躍の場を舞台に移し、舞台女優として演技を続けている。2015年には3年連続前売り率1位になった演劇『屋根部屋のネコ』にキャスティングされ、子役から舞台女優として羽ばたくことになった。
(画像出典:instagram @suga_ryeong)
そして2019年12月には、韓国国内唯一の国立劇場専属劇団である国立劇団の「近現代の戯曲の再発見シリーズ」10作品目となる演劇『護身術』にキャスティングされ、舞台女優としての地位を固めた。
テレビの中で天才”いじめっ子”子役だった彼女はもう32歳になった。今や韓国最高の演劇舞台に立つ大人の役者へと成長した彼女の姿を、再びテレビで見る日は来るのだろうか。舞台女優としての活躍とともに、テレビ、映画界での演技復活にも期待したい。
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