去る18日、多くのドラマファンに惜しまれつつ最終回を迎えた『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。視聴者はウ・ヨンウの成長とともに、あるキャラクターの成長にも感動を覚えたよう。現代人の姿そのものとも言われる、そのキャラクターとは。
日本のドラマファンも楽しみにしていた『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。去る18日に最終回を迎え、私たちの”ウ曜日”は幕を閉じてしまった。
ウ・ヨンウの愛しい行動が見られない現実に寂しさを覚える視聴者が多い中、ドラマファンの間では最終話で描かれたシーンが話題を呼んでいる。
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最終回のハイライトシーンは‥
韓国の視聴者が注目したのは、唯一の悪役(?)、クォン・ミヌ(チュ・ジョンヒョク扮)だ。
最終話では、過去の誤った選択を放棄する彼の姿が描かれた。
クォン・ミヌは、ライバル社である法律事務所テサンのパートナー弁護士であり、ウ・ヨンウ(パク・ウンビン扮)の母親でもあるテ・スミ(チンギョン扮)と共に、ウ・ヨンウを陥れるべく企てていた。彼はその報酬として、テサンに弁護士の席を用意してもらうはずだった。
しかし、今回の放送でクォン・ミヌは”腹黒策士”の姿を脱ぎ捨てた。
テ・スミに向かい、「諦める」と話した彼は、「バカみたい(素直)に生きてみようと思う」と宣言。自分の野心のために他人の心を傷つける行為をやめるという決意だった。
これは、同僚弁護士であるチェ・スヨン(ハ・ユンギョン扮)の言葉を聞いて、心境の変化を起こしたものと見られる。
韓国の視聴者は、クォン・ミヌの劇的な変化に戸惑いながらも「格好いい」「彼の成長が見られて良かった」「最終回のハイライトシーンだよ」との反応を見せた。これに加え、心境の変化を表わすクォン・ミヌの姿を、俳優のチュ・ジョンヒョクが素晴らしく表現したとの称賛も届けられている。
唯一の悪役であったクォン・ミヌが改心したことで、悪役のいないドラマとなったことや、微笑ましい結末に大満足した視聴者も多かったよう。
現代人に一番近いキャラクター、クォン・ミヌ
クォン・ミヌが悪役として描かれているが、このキャラクターこそ現代人にとって一番身近な存在なのではないだろうか。
人を陥れてまでも這い上がりたい、そう思わせる競争社会に生きる典型的な人物に見える。
実際、ここまで分かりやすい行動はしないまでも、私たちもそれに近い思いを抱いたことがあるはずだ。現代人は人生を歩む中で、受験にしろ就職にしろ熾烈な競争を強いられ、それに勝つべく奮闘してきた。
そんなリアルな姿であるクォン・ミヌ。彼の行動を見て「考えさせられた」という視聴者からの反応も上がっている。
ドラマに登場するのは、我々の理想とする架空の人物ばかりだ。ウ・ヨンウはもちろん、彼女の上司であるシニア弁護士、チョン・ミョンソク(カン・ギヨン扮)、同期でありロースクール時代から仲良くしているチェ・スヨン、そしてイ・ジュノ(カン・テオ扮)と、穏やかで優しく思慮深い、そして理知的と、理想の行動を見せる彼らは、現実世界ではそうお目にかかれない人物だ。
そのような”憧れ”を含んだキャラクターが揃う中で、クォン・ミヌは一番リアリティーがあり、現代人とってまるで”鏡”を見ているかのような存在だった。
もちろん、ストーリー上では、憎たらしい行動や意地悪な発言を連発する”嫌なヤツ”と映った。だが、彼の言動こそが、現代人が日常で体験していることなのでは‥?
だからこそ、”今を生きる”視聴者に対して、何かを投げかけるような役割を果たしたのではないだろうか。
視聴者は善良なキャラクターに魅了されてしまうものだ。しかし、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』では我々の鏡のような存在であるクォン・ミヌが、最後の最後に”共感”と”問題提起”を見せ、人々の心に深く刻まれることとなった。
ドラマのもう一人の主人公は、我々の鏡でもあるクォン・ミヌだったのかもしれない。
(構成:星野沙)
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