【韓流20周年企画-チョン・グァンリョル編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか‥今回は、日本でも大ヒットしたドラマ『朱蒙』や『製パン王 キム・タック』で活躍を見せた、俳優のチョン・グァンリョルにスポットを当てる。
韓国ドラマを語る上で欠かせない俳優、それはチョン・グァンリョルだろう。
彼の名を世に知らせたのは、1999年に放送されたMBC『ホジュン 宮廷医官への道(以下、ホジュン)』、そして日本でも大ヒットを飛ばしたMBC『朱蒙 -チュモン- Prince of the Legend(2006/以下、朱蒙)』、KBS『製パン王 キム・タック(2010)』だろう。
『ホジュン』では主人公ホ・ジュン役を、『朱蒙』ではチュモンの義理の父、クムワ王役を、そして『製パン王 キム・タック』ではコソン食品会長のク・イルチュン役を演じ、視聴者に感動と驚きを与えていた。
これら代表作からも分かる通り、チョン・グァンリョルは優しそうなルックスから、善人や善良なキャラクターを多くこなしているように見えるが、意外にも善と悪が混在した役でも強烈な演技力を披露している。
優し気な顔を見せながらも、腹の中では何を企んでいるか分からない、優しい顔が逆に疑わしい‥と視聴者に思わせる一面がある。
それゆえ、チョン・グァンリョルが出演する作品は、彼の存在感だけで、視聴者が「どのような展開になるのか読めない」と感じるそうだ。
善人、悪人、善人に見える悪人、またその逆のキャラクターと、視聴者が掴み切れないキャラクターを多く演じてきた、チョン・グァンリョル。彼が俳優として愛されているのは、このようなミステリアスさを持ち合わせていることも大きいだろう。
これに加え、安定感のある演技力。
繊細で豊かな感情表現を披露する彼は、その中でも泣く演技、号泣する演技が、韓国俳優の中でもトップレベルに挙げられる。彼の泣く演技は、”まさに悲しみそのもの”としか見えないほど、完璧な感情演技だと称賛されている。
基本的に目鼻立ちがはっきりしているため、悲しみのほかにも演技する時の感情が表情に濃くにじみ出ている。このような理由で人気を集めている俳優でもある。
音楽の道から俳優へ。しかし無名時代にもがく日々
天性の俳優という言葉がぴったりのチョン・グァンリョルだが、元々は音楽の道に進む予定だったそうだ。
しかし、音楽よりも演技をしたかった彼は、高いことで有名な楽器、ファゴット(バスーン/木管楽器の1つ)を壊しながら反抗。結局、父親から俳優の道に進むことを許可されたものの、これと同時に家を追い出されてしまった。
その後、俳優として成功を収め、スターダムへと駆け上った彼は、父親からの許しを受けたそうだ。自分の夢を叶えるために激しく戦って勝ち、人生も成功した人生の勝利者と言えるだろう。
人生の勝利者となった彼だが、俳優への道に進んだ当初は苦労の連続だった。
1980年、TBC最後の公開採用タレントとしてデビューしたが、同年の11月にマスコミ統廃合でTBCが消え、10年以上も端役専門俳優として過ごした。
朝のドラマや週末ドラマで、ウェイター役や主人公の友人の妹の恋人役といった比重の軽いキャラクターがほとんどだった。
長い間、無名時代を過ごしていたチョン・グァンリョルだったが、1987年にドラマ『智異山』で主人公を演じ、注目を集めるようになる。
その後、数々の作品で実力を見せつけた彼は、1999年に放送されたSBS『青春の罠』で、少々概念がないものの、憎めない財閥2世役を演じ、当時の女性たちの間に”イケメン俳優”として浮上。本格的にその名を知らせることとなった。
この直後、『ホジュン』の主人公に抜擢され、裏切らない演技を披露。本作は歴代時代劇の中でも最高の視聴率を達成し、国民的ドラマと称賛を浴びた。余談だが、本作の最高視聴率は64.8%で、この記録は2022年まで不動の1位(時代劇)、ドラマ全体では4位を記録している。
一躍、トップ俳優として第一線に躍り出た彼は、これ以降も人気作に顔を覗かせている。
『朱蒙』や『製パン王 キム・タック』をはじめ、SBS『王と私(2007)』、MBC『オクニョ 運命の女(2016)』、SBS『テバク~運命の瞬間~(2016)』、KBS2『魔女の法廷(2017)』など、現代劇から時代劇までをこなす、韓国ドラマに欠かせない俳優として活躍を見せている。
気になる次回作は、2022上半期に放送予定の少女時代ソヒョンとナ・イヌが主演するドラマ、KBS『ジンクスの恋人』だ。本作でも”展開が読めない”キャラクターとして登場するのか、期待がかかる。
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