- Kantaのショートドラマは、短さや縦型といった制約を逆手に取った時代劇表現を確立。
- “瞬間”に込められた感情を鋭く描き出すことで、深い余韻を残す。
- 既成概念に挑戦し続ける新たな時代劇のかたちが、静かに注目を集めている。

近年話題を集めた韓国時代劇 (画像出典:KBS、tvN、MBC)
時代劇と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは長尺で重厚な物語ではないだろうか。
複雑な人間関係や時代背景を丁寧に積み重ね、時間をかけて人物の生き様を描く、そんなイメージが、時代劇には根強く存在している。
そんな固定観念を軽やかに裏切るのが、Kantaのショートドラマにおける時代劇表現だ。
ショートドラマは、短時間で気軽に楽しめるコンテンツとして認識されることが多い。
テンポの良さや分かりやすさが重視され、舞台は現代、テーマも日常的なものが中心という印象を持たれがちだ。しかしKantaの時代劇ショートドラマは、「短い=軽い」という先入観を成立させない。
限られた尺の中で描かれるのは、世界観の説明ではなく感情そのものだ。身分や背景、因縁を細かく語らずとも、衣装や所作、言葉遣いといった記号性の強い要素によって、視聴者は瞬時に時代を理解する。説明を削ぎ落とすことで、物語は感情へと一直線に向かっていく。
長編時代劇が時間をかけて積み上げる「過程のドラマ」だとすれば、Kantaのショートドラマは「瞬間のドラマ」だ。
刀を抜く覚悟、交わされる短い言葉、沈黙の間。その一瞬に凝縮された感情が、短編でありながら強い余韻を残す。
さらに、Kantaショートドラマの時代劇表現を語るうえで欠かせないのが、縦型フォーマットの存在だ。
横型ドラマと比べ、画面に収まる情報量が限られているため、俳優同士の距離は必然的に近くなる。
その近さは、時代劇において独特の効果を生む。視線の揺れ、呼吸の間、言葉を発する直前の戸惑い、そうした細やかな感情が、逃げ場なく画面に映し出される。
時にそれは、相手との距離に対する優しい困惑として表れ、人物の人間味をより際立たせる。
12月19日に東京都内で行われた、KARA 知英主演のKantaショートドラマ『退職やめてキスしない?』のウォッチパーティーでも、知英は縦型ドラマ特有の演技の難しさに触れ、「縦構図に2人が収まるよう求められるため、想像以上に相手との距離が近くなり、相手の顔が見えないほどだった」と笑いながら語った。演じるうえでの新鮮さと学びがあったという。
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縦型ゆえに相手との間合いが詰まり、その空気感に少し戸惑いながらも、感情がよりダイレクトに伝わる縦型ショートドラマならではの体験を語っていた。
こうした特性を色濃く体現しているのが、CIXのヒョンソクが主演を務めるKantaオリジナル時代劇『名家の末っ子若様を拾ってしまいました』である。
本作は、身分違いの恋と陰謀に翻弄されながらも、真実の愛を貫こうとする若様とヒロインの時代劇ロマンス。時代背景の説明は最小限にとどめ、登場人物同士の関係性や感情の変化に焦点を当てた構成が特徴だ。
縦型画面によって強調される距離感は、登場人物の迷いや覚悟をより繊細に映し出す。一言を発するまでの逡巡、相手を見つめる時間、そのわずかな間に込められた感情が、短い物語でありながら深い余韻を残す。
ショートドラマという制限、そして縦型というフォーマット。
それらを弱点ではなく表現として昇華している点にこそ、Kantaの時代劇ショートドラマの本質がある。
ショートドラマは、時代劇を縮小したものではない。むしろ削ぎ落とすことで、その核心をより鮮明に浮かび上がらせる新しい表現形態だ。
Kantaの時代劇ショートドラマは、時代劇というジャンルが今もなお更新され続けていることを、静かに、しかし確かに示している。
『名家の末っ子若様を捨ってしまいました』

CIX ヒョンソク主演『名家の末っ子若様を捨ってしまいました』(画像出典:Kanta)
●韓国タイトル:영의정 댁 막내 도련님의 첫사랑
●ジャンル:時代劇/ロマンス
●キャスト:ヒョンソク(CIX)、ソル・ジウォン、チョン・イエナ、クォン・ミンヒョク 他
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