- 韓国ドラマには、主人公の母が登場する作品が多い。
- 短い出演量であっても、母の深い愛を感じさせるエピソードがお茶の間を感動させる。
- お母さん役で好演を繰り広げ、視聴者を泣かせた女優4人の活躍を紹介する。
韓国ドラマには、高い確率で主人公の“オモニ(母)”が登場する。
特に、娘とのやり取りや関係性が盛り込まれているものが多く、手料理を独り暮らしの我が子の家に届けるのにはじまり、仕事や恋愛、結婚など様々なことについて、なにかとアドバイスしたり我が子の尻を叩いたり、主人公の幼い時のエピソードに登場することも。
最近は、『おつかれさま』(Netflix/2025)で、ヨム・ヘランが母性溢れる母親を熱演して序盤の物語を牽引、彼女の演技だけで1本の作品になりそうなほどの物語に仕上げたばかりだ。
韓ドラに登場する母は、ストーリーラインのメインではないことがほとんどだが、たとえ短い分量であっても、母親という愛に満ちた存在を視聴者に刻印して物語に深みをもたせる傾向が。事実これまでにも、錚々たる女優陣がお母さん役で名演技を披露してお茶の間を感動させてきた。
そこで本記事では、彼女たちの出演作のなかでも特に好演が光る作品を1つピックアップして、その活躍ぶりを振り返る。韓国ならではの家族のスタイルや絆が含まれているものの、母の愛という普遍的なテーマは世界共通。日本のドラマファンのなかにも、大泣きした人がいるのではないだろうか。
イ・ジョンウン
イ・ジョンウンは、『椿の花咲く頃』(KBS/2019)で、コン・ヒョジン扮する主人公トンベクの母を演じた。7歳で娘を捨て、認知症にかかって戻ってきたキャラクターだ。

『椿の花咲く頃』でお母さん役を演じたイ・ジョンウン(画像出典:KBS)
なぜ我が子を捨てたのか、それまでなにをしていたのか、再び現れた理由までなにも明かされないまま、ミステリアスな人物として物語が進んでいくのだが、後半で彼女の全貌が明らかに。全ての行動に説得力を持たせる演技で、一気に伏線回収までして視聴者の涙を誘った。
ある程度、先が読める展開ではあるものの、彼女の熱演によって感動のエピソードに仕上がっており、母の愛情の深さが手に取るように伝わってくる演技は圧巻。娘の幸せをなによりも願う姿がなんとも切ない。
キム・ミギョン
キム・ミギョンは、母親役の代名詞のような存在。“お母さん役専門女優”といっても過言ではないほど、実に多くの作品で様々な母親像を描き出してきた。

『ゴー・バック夫婦』で、お母さん役を演じたキム・ミギョン(画像出典:KBS)
その1つが、『ゴー・バック夫婦』(KBS/2017)。主人公がタイムスリップする設定の作品で、母が10年後にこの世を去ってしまうことを知っている我が子を憐れみ、娘の気持ちに寄り添うシーンが多くの視聴者を大号泣させた。
「子どものいるところに帰りなさい」、「親がいなくても生きられるが、我が子なしでは生きられない」と、幼い子どもを置いてタイムスリップしてきた主人公に別れを告げる場面は、当時大きな話題に。母と娘の今生の別れを、リアリティーたっぷりに表現した。
キム・ヘジャ
キム・ヘジャといえば、映画『母なる証明』(2009)で殺人容疑をかけられた息子を必死に守ろうとする母を熱演したことで知られるが、ドラマでは『田園日記』(MBC/1980)で好演を繰り広げて“国民の母”と呼ばれるようになった。

『私たちのブルース』で、お母さん役を演じたキム・へジャ(画像出典:tvN)
最近は『私たちのブルース』(tvN/2022)で活躍、夫と死別後、息子に3度の食事を与え、学校に通わせたいという気持ちから、亡き夫の友人の妾になることを決意した母役だ。
なんとか子どもを育てるために選択した道だが、これがきかっけで息子との間に深い溝ができ、悲しい人生を送ることに。母という生き物の本質的な部分を、セリフや表情はもちろん、背中でも描き出した。
ムン・ソリ
ムン・ソリは昨年、『ジョンニョン: スター誕生』(tvN/2024)で、主人公の母に扮した。特別出演だったとは思えないほどの存在感で、強い母性を感じさせる演技に圧倒された視聴者も。

『ジョンニョン: スター誕生』で、お母さん役を演じたムン・ソリ(画像出典:tvN)
彼女が演じたのは、夫を亡くし女手一つで2人姉妹を育てるため休む暇なく働き、心に余裕がなく子どもに対して無関心なように見えるが、実は愛情深いキャラクターだ。
短い出演量のなかで立体的な演技が必要とされたが、ムン・ソリはさらっとやってのけている。我が子の幸せを願う親心から娘の夢を猛反対する姿まで、子を想う母そのものだった。
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