大ヒット時代劇『トンイ』(MBC/2010)が、BS12トゥエルビで放送中だ。

約14年前のドラマだが、いまだ日本の韓ドラファンにとって愛すべき作品の1つ。「好きな時代劇は？」と尋ねられると、本作を挙げる人も多いのではないだろうか。

かつて日本の韓流ブームを盛り上げ、いまもなお支持され続けている韓ドラ史に残る名作だ。事実、冒頭で触れたBS12トゥエルビをはじめ、韓流プレミア(テレビ東京)や、NHK、ケーブルテレビなどでもいまだに放送されている。

主演を務めたハン・ヒョジュとチ・ジニの好演が成功へと導いた一因だと言われているが、2人以外にも『トンイ』の人気を大きく支えた人物が。

嫌われ役の妖婦チャン・ヒビンに扮した美人女優イ・ソヨンだ。しかし『トンイ』以降はあまり見かけなくなった彼女。最近は何をしているのだろうか。当時の活躍を振り返るとともに近況を紹介する。

デビューから『トンイ』への軌跡

小さな顔に大きな目とスッと通った鼻、形の整った唇が上品に収まり、キュートさと美しさを兼ね備えたイ・ソヨン。『トンイ』で、吸い込まれるような魅力を放っていた彼女の姿を覚えている人は多いはず。

現在41歳(日本年齢)だが美貌は健在。2005年に『春の日』(SBS/2005)でデビューして来年で20年が経とうとしているが、時が止まったかのようなルックスを誇っている。

現在も美貌を誇っているイ・ソヨン(写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

そんな彼女が、お茶の間で熱い視線を浴びるきっかけとなったのが、ドロ沼劇の達人キム・スンオク作家が手掛けた『天使の誘惑』(SBS/2009)だった。

ヒロインとして登場し強烈な悪女を熱演、視聴者に強い印象を残した彼女は、翌年『トンイ』で、韓国歴史に残る妖婦チャン・ヒビン役を演じることになった。

新しいチャン・ヒビン像で飛躍したイ・ソヨン

イ・ソヨンは、自分だけのチャン・ヒビン像を描き出して役者としてステップアップに成功、ブレイクを果たすことに。

チャン・ヒビン役で女優としてステップアップしたイ・ソヨン(画像出典：MBC)

時代劇において悪女一辺倒だった既存のチャン・ヒビンというキャラクターをカリスマたっぷりに演じ、野心に満ちた一方で愛を求める人間臭く立体的な役を作り出して好評を得た。

究極の憎まれ役でありながら、どこか同情したくなる面を合わせ持ったチャン・ヒビン。彼女の存在は、主人公トンイの魅力をより一層引き立て物語を盛り上げていた。

近況

『トンイ』で女優としての転機を迎えたイ・ソヨンだが、日本の韓ドラファンの中には本作以降彼女の姿を見ていないという人もいるのではないだろうか。

女優業は継続しており毎年のようにフィルモグラフィーを更新し続けているものの、いわゆる比較的万人受けし話題性を獲得できる日本で配信されるタイプの作品には出演していないからだ。

本国でお母さん世代から絶大なる支持を得るドロ沼劇を取り扱う週末ドラマや、イルイルドラマ(平日毎日放送されるドラマ)で主に悪女役で積極的に活躍中。

とはいえ、昨年は青春ロマンス『輝くウォーターメロン～僕らをつなぐ恋うた～』(tvN)に、主人公の大人役と母役として登場しており、Lemino®で配信されているためご覧になった人もいるかもしれない。

今年は、1月22日に韓国でスタートした愛憎劇『血も涙もなく』(KBS)に出演中。日本では、KBS Worldで来月30日から第1話と第2話が先行放送、4月から本放送がスタートする予定だ。

『血も涙もなく』に出演中のイ・ソヨン(画像出典：KBS)

本作では、継母に虐待された過去を持ち、幸せが訪れるたびに不安になってしまうほど内面は傷だらけだが、洗練された振る舞いをする完璧主義者という難しい役を演じている。

しかしながら『トンイ』で立体的なチャン・ヒビンを演じきったイ・ソヨンだけに、韓国ではすでに彼女の演技に対する賞賛の声が上がっている。

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