NiziU(ニジュー)には、センターがいない?日本のあるメディアが報じた「センター不在=全員主人公」という分析に加え、NiziUの先輩グループ、miss AやTWICEからパク・ジニョンが得た”貴重な経験”を補足しておきたい。

先日、日本某メディアが掲載した、NiziU(ニジュー)の”センター不在”という興味深い見出しでの考察を読ませていただいた。

“センター不在=全員主人公”という解釈には、自ずと共感してしまうが、(誠に勝手ながら)少し補足させていただきたい。

NiziU

メンバー全員が主人公! NiziUの快進撃の原動力は”センター不在”?(画像出典:NiziU公式SNS)

K-POP界が”センター”を諦めた理由とは

まず、同記事の内容をざっくり紹介しよう。

筆者は、日本のアイドルシーンにおける”伝統”として「グループの中心に立って、全体のイメージを確立させる」という役割を担うセンターが、存在していると切り出している。

一方、国民的なグループとして成長を遂げているNiziUをはじめ、明確なセンターのいないアイドルグループの増加も伝えており「まさに、”全員主人公”なグループ」が、新たに感知されているトレンドだと分析。

NiziUに関しては、日本のそれとは異なり、K-POPの特性が取り入れられているとの見解も示したが、K-POPシーンにおいても”確固たるセンター”が存在していないわけではない。

少女時代(SNSD) ユナ

少女時代(SNSD)のセンターとして絶大な人気を誇ったユナ(写真提供:©TOPSTAR NEWS)

かつては、Wonder Girlsのソヒ、少女時代のユナ、miss A(ミスエー)のスジ、AOA(エーオーエー)のソリョンなどが、チームのセンターとして、グループ人気の”*落水効果”を生んできた。

*落水効果:トリクルダウン理論。「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」とする経済に関する仮説。

ガールズグループの増加により、大衆の目に触れる機会が急激に減少したため、センターなるメンバーの露出に力を入れるという”一点集中”戦略は、各所属事務所にとっても不可欠な選択肢になってしまった。

4世代アイドルの登場とともに消えたセンター

しかし、BLACKPINKやITZY(イッジ)、(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)といった、いわゆる”第4世代アイドル”の登場とともに、センターというポジションは消えつつある傾向にあるのだ。

何故なら、センター一点集中型のメリットより、チームワークの亀裂というデメリットの方が、浮き彫りになったためだ。

AOAの場合「AOAは知らないけど、ソリョンは知っている」という言葉が、ネット上に広まるほど、ソリョンと非ソリョンの知名度格差は深刻な状態をたどった。もちろん、ソリョンの活躍により、AOAの知名度もアップしたが、収益分配や待遇に関する問題、人気格差によるチームワーク亀裂という、爆弾を抱えながらの戦略でもあったようだ。

AOAのセンター、ソリョン

AOAのセンター、ソリョン・・彼女の人気はチームにとって”毒”?(写真提供:©TOPSTAR NEWS)

このようなリスクが放置され続けると、メンバー同士の軋轢が顕著となり、やがて脱退や解散という”最悪”な結果を招きかねない。

せっかく育てて、やっと知名度が上がろうとした矢先に、チームの瓦解を目の当たりにした所属事務所は、”落水効果”を捨てて”噴水効果”を狙うようになったのだ。

“センター”を起用しないパク・ジニョンの妙手

センター不在を試した、最初のガールズグループはTWICE(トゥワイス)だと言われている。

デビュー初期は、メンバーのナヨンをセンターに起用していたが、ツウィやサナなどが交互にセンターを務めるという戦略にシフトチェンジ。この戦略は的中し「人気格差のないガールズグループ」「仲の良いガールズグループ」の見本として褒め称えられている。

これには、パク・ジニョンの”苦い経験”が大きく作用したとみられる。

かつてWonder Girlsに次ぐ大型ガールズグループとして、期待が集まっていたmiss A(2010年デビュー)だが、メンバーのスジに人気が偏ってしまう。チームとしてのmiss Aは、大衆の記憶でその存在は段々と薄まり、スジが所属している”なんちゃらガールズグループ”に転落してしまったのだ。スジの高い人気が、miss Aにとっては”毒”となってしまい、今に至っても”人気格差”の悪い例として、人々の脳裏に焼き付いている。

miss A スジ

スジ個人へ偏る人気は、miss Aの人気格差をもたらした・・(写真提供:©TOPSTAR NEWS)

パク・ジニョンは、miss Aからの教訓を生かし、TWICEメンバーには個人活動をさせないスタンスを貫いているのだが、NiziUに対しても、同様の戦略を駆使していると見られる。miss Aでの”失敗”と、TWICEの”成功”で証明された戦略を・・だ。

もちろん、グローバルで活躍するアイドルとしては、未完成であると言われるNiziUメンバーの可能性や潜在能力を最大化するという思惑もあるだろうが、一点補足しておくと、NiziUのセンター不在の戦略は「miss Aの二の舞にさせない、せめてTWICEのように」といったパク・ジニョンの”必勝の妙手”でもあるのだ。



NiziU

JYPエンターテインメントとソニーミュージックによる共同グローバル・オーディション『Nizi Project(虹プロ)』から誕生した9人組ガールズグループ。

メンバーは、マコ、リオ、マヤ、リク、アヤカ、マユカ、リマ、ミイヒ、ニナ。

6月30日に、プレデビュー曲『Make you happy』を発表、12月2日に『Step and a step』で正式デビューした。

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