- 5月22日(現地時間)、BLACKPINK(ブラックピンク)のジェニーが、カンヌ映画祭のレッドカーペットに登場した。
- 彼女は、米HBOのドラマシリーズ『The Idol(ジ・アイドル)』で女優デビュー。
- しかしドラマの製作過程では、監督が降板し全面的に再撮影を行うなど、紆余曲折があったようだ。
BLACKPINK(ブラックピンク)のジェニーが、女優としてレッドカーペットに立った。
5月22日(現地時間)、ジェニーはフランスのカンヌで開かれた『第76回カンヌ国際映画祭』のイベントに登場。
今回、彼女が出演した米HBOのドラマシリーズ『The Idol(ジ・アイドル)』が、アウト・オブ・コンペティション部門に公式招待されたことから、女優ジェニーがカンヌデビューを果たしたのだ。
本作品は、ミュージシャンのザ・ウィークエンド(The Weeknd)が製作総指揮を執ると同時に主演を務め、サム・レヴィンソン監督が演出を担当している。
ジェニーは初めての演技挑戦のため、世界中のファンの期待が一気に集中。公開前から大きな関心が寄せられていた。
この日、レッドカーペットやプレミア上映会にジェニーが登場すると、現場に集まったファンは大熱狂。
公開に先立ち上映されたドラマは、K-POPファンだけではなく、米のドラマファンからも高い注目を浴びている。
しかし、HBOドラマ『The Idol』がこの日を迎えるまでには、かなりの紆余曲折があった。
製作過程においては雑音も多く、ドラマ製作の発表から公開まで約2年を費やした。ではなぜ、ここまで長引いたのか?
これについては、2023年3月に米のローリングストーン誌(Rolling Stone)が「『The Idol』:HBOの次作『ユーフォリア』がどうして“拷問ポルノ”になったのか 」という刺激的なタイトルで報道している。
記事の主な内容は、最初の演出担当だったエイミー・サイメッツの降板と、後任のサム・レヴィンソンの全面的な再撮影に焦点を当てている。
本来HBOは、2021年11月放映を目標に、同年6月から製作を始める予定だったという。
しかし実際は、6月にドラマを製作することが発表された後、9月にヒロイン役のリリー=ローズ・デップがキャスティングされ、11月に撮影がスタートしている。
またHBO側は、製作費は1話当たり900万ドル、計5400万ドルという低予算を求めたが、実際のロケ場所には高価な邸宅やクラブ、スタジアムを背景にすることを望んだ。
また、もともと撮影スケジュールにも問題があった。2021年末に撮影が始まったが、演出のエイミー・サイメッツは他の作品も抱えていたため、スケジュール調整が容易ではなかった。
そして2022年4月、彼女は全体の80%を完成させ、最終話を撮影する直前に降板してしまう。
しかしこの降板については、自発的というよりは、製作者であるザ・ウィークエンドの決定が大きかったという推測がされている。
彼がストーリーの「カルト的」な要素を減らしたかったこと、また作品におけるヒロインの比重が大きく、あまりにも女性的な観点で製作されていることに不満を持ったからと言われている。
しかし製作陣によると、彼のキャラクターを中心に進めるには、スケジュール上、不可能だったという意見も。実は彼が2022年7月にワールドツアーを控えていたからだ。
そして撮影は一時中断され、HBO側は「製作は継続し、新しい観点にふさわしい製作陣と俳優たちが共にする予定」と発表。そしてキャスティングにドラマチックな変化があるという報道がされた。
そして、降板した演出の後任は、ザ・ウィークエンドと共同製作者のサム・レヴィンソンが担当することになった。
実は彼は、過去に物議を醸したドラマシリーズ『ユーフォリア/EUPHORIA(2019~)』の原案・脚本・製作総指揮に名を連ねる人物。
このドラマの中心は、Z世代を生きるティーンエイジャーで、セックス・ドラッグ・バイオレンスに溺れてしまう若者たちが、葛藤しながら幸せをつかもうともがく姿が描かれているのだが、扱うテーマがテーマなだけに、その世界観はダークで性描写も過激。
(関連記事)BLACKPINK ジェニー出演「THE IDOL」俳優陣の破格的な露出シーンが話題
そんな話題作を製作した人物が新たな演出担当となり、『The Idol』は全面的な脚本の修正と再撮影に入る。ドラマのコンセプトも『ユーフォリア』のように、性的な内容に重点を置いた方向に変わった。
そして2022年7月、ついにジェニーのキャスティングが発表される。
同年8月には、ティーザー映像が公開されたが、エロティック且つ不穏なムード、怪しい組織、麻薬らしきものを吸引するシーンなどが登場したことで、彼女の役柄については様々な憶測を呼んだ。
『The Idol』の製作過程においては、脚本にも問題があったと言われている。
脚本は草案だけでも何度も修正が入ったため、台本が撮影に間に合わず、現場では撮影シーンのセリフだけが書かれた紙が台本代わりになることもあったそう。
そのせいで、製作陣は、自分たちが今何を撮っているのかさえ分からない状況だったという。
HBO側も、製作者たちに全てを一任していたため、ドラマの製作環境は改善されず、製作陣は苦しめられた。
そのため、サム・レヴィンソンが演出を引き継ぎ、撮りなおしを始める際には、多くのスタッフと俳優が彼の元に合流しなかったとも伝えられている。
結局ドラマは、方向性や脚本が大きく変更となり、撮り直しをせざるを得ない状況となった。
米のローリングストーン誌は、第2の『ユーフォリア』を作り出すのに、余りにも多くの時間と予算が投入されたと指摘。そして「それでもクオリティーが保証されない作品」だと伝えた。
ジェニーのキャスティングから約1年、『The Idol』は紆余曲折を経て、2023年6月にアメリカで放送開始予定となっている。
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