パク・ジェボム(Jay Park)は2021年の年末に、ヒップホップレーベルの代表から退き、今年から”アイドル製作者”という新しい肩書を持つことになった。そんな彼の新たな挑戦は韓国中で話題となり、彼への応援とリスペクトを示す声が多く寄せられているが、どうやら称賛一色ではないようだ。
韓国の実力派ラッパーパク・ジェボム(Jay Park)が、アイドルグループをプロデュースするという。
複数の韓国メディアによると、昨年年末にヒップホップレーベル(AOMG、H1GHR MUSIC)の代表から退いたパク・ジェボムが、アイドル育成及び輩出をメインとするエンターテインメント企業の設立に着手しているようだ。
彼の設立する企業に対して、カカオエンターテインメント(以下、カカオ)が巨額の投資を約束したとの報道も出ており、K-POPアイドル関係者や音楽ファンの間で大きな話題となっている。
カカオを背負った風雲児になる? パク・ジェボム
これらの報道に対して、カカオは「パク・ジェボムは、アーティストやプロデュース業務など、多様な領域で才能を発揮している」とし「彼と様々な形でのコラボレーションを協議しているが、決まったことはない」と明言を避けた。
前出の韓国メディアは、パク・ジェボムが追求してきたヒップホップとR&Bをベースとした、アイドル誕生を期待する声も伝えている。
パク・ジェボムの新たな挑戦は韓国中で話題となり、彼への応援とリスペクトを示す声が多く寄せられた。アイドル(2PM)出身者として、様々な分野で自身の哲学を貫き、成功を収める姿を褒め称える意見が多くを占めている。
2PM脱退を蒸し返されるパク・ジェボム
パク・ジェボムの近況を共有している韓国オンラインコミュニティーで、ネットユーザーは「本当にカッコイイ!」「できない事が1つもない」「カカオが手を差し出すほど、その才能は業界で認められている」などのコメントが目立った。
しかし、韓国ネットユーザーの声は、称賛一色ではない。一部のネットユーザーが「2PM活動⇒脱退は、彼にとって黒歴史。K-POPアイドルに嫌気を差したはずなのになぜ戻るの?」と疑問を提起する者も。すると、2PM(トゥーピーエム)脱退の”責任攻防”が蒸し返され「パク・ジェボムの落ち度なのか、JYPエンターテインメントの一方的な決定なのか」といった議論が発生するという展開に。
当時、2PMのリーダーだったパク・ジェボムと、JYPエンターテインメント(以下、JYP)の間には、何が起きていたのだろうか。パク・ジェボムを脱退に追い込んだとされる、2009年の出来事を時系列で紹介したい。
- 2009年5月:パク・ジェボムが、過去に海外のSNSに残した書き込みが話題に。その内容は、練習生時代に感じていた不満やグチが綴られていたのだが、一部の表現に対して”韓国を卑下した”と、韓国ネットユーザーが騒ぎ出す。
- 2009年9月:パク・ジェボムは、自身に対する韓国世論の悪化により、自ら2PM脱退を宣言。アメリカ行きの飛行機に乗り、韓国を去る。
- 2009年11月:パク・ジェボムの書き込みが”韓国卑下”ではないという擁護論が広まり、パク・ジェボムの復帰が現実味を帯びてくる。2PMを生み出した当事者であり、JYPの総括プロデューサーであるパク・ジニョン(J.Y. Park)もテレビ番組に出演し、彼の復帰を示唆。
- 2010年2月:JYPは懇談会を開き、パク・ジェボムの永久脱退を発表する。その理由を”パク・ジェボムの私生活問題”としているが、いまだに具体的な理由は明らかになっていない。2PMメンバーも「(脱退原因は)彼を守るため、今後も言うことはない」と口をつぐんだ。
2009年に勃発した、”パク・ジェボムの韓国卑下”議論。13年前の騒動が蒸し返された背景については、「2010年に、JYPが彼の脱退の理由として挙げていた”私生活問題”を具体的に説明していないため」と、多くのネットユーザーは口を揃えて訴える。
また”私生活問題”という、曖昧でデリケートなワードにより「パク・ジェボムが、JYP所属の〇〇(女性アイドル)に手を出した」というような、根拠のない憶測が広まっていたのも事実だ。
一方「JYPには明かしたくても明かせない何らかの事情があったのでは?」と事務所側を擁護し、反論する人もいる。もし”男女関係”にまつわる事案だとしたら、なおさら明かすことができないという理屈だ。現役女性アイドルや、デビューを控える練習生がパク・ジェボムの”私生活”に関係していた事が噂されれば、所属事務所(JYPだけでなく、他事務所を含む)にとって大きな打撃になってしまう。
つまり、それを配慮(もしくは憂慮)したJYPが、具体的な説明を避けたのだと推測しているのである。
パク・ジェボムの”臥薪嘗胆”
いずれにしてもパク・ジェボムは、アイドル界に戻り叶わなかった夢に再挑戦する格好となった。”*臥薪嘗胆”という四字熟語が、彼のキャッチコピーになるような空気が感知される韓国芸能界で、彼はどのようなドラマを書き下ろすのだろうか‥。
*臥薪嘗胆(がしんしょうたん):かたきを討とうとして苦心・苦労を重ねること、将来の成功を期して苦労に耐えること。
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