BTS(防弾少年団)完成の”最後のピース”だったジミン。今となっては、彼なくしてBTSの形成はあり得なかったと断言できる。そんなジミンについて、韓国の大衆音楽評論家であるキム・ソンデ氏が『ジミンはなぜアイドルの中のアイドルなのか』と原稿を寄せたので紹介したい。
BTS(防弾少年団)完成の”最後のピース”だったジミン。
彼らの生みの親であるパン・シヒョクは、当初グローバルラップグループを作る予定だったことは有名な話だが、その後紆余曲折を経て現メンバーでデビューに至る。
結果的に、K-POPアイドルという概念を覆すような数々の偉業を成し遂げ、グローバルアーティストへと成長。そんなBTSを語るには、メンバー誰一人として欠けることは許されない。
しかし、韓国の大衆音楽評論家であるキム・ソンデ氏は中でもジミンの存在を”BTSのキーパーソン”として挙げ、彼がなぜ”アイドルの中のアイドル”であるかを語った。
以下、彼の言葉を引用してお伝えする。
ジミンが”パフォーマンス”という言葉に込めるもの
中学2年の時からダンスを始めたジミンは、RMがエミネムを、SUGA(シュガ)がStony Skunk(ストーニースカンク)やEpik High(エピックハイ)を聴いてラップに魅了されたように、ジミンはRAIN(ピ)を見てアイドルになることを、早い段階から決めていた。
学校が終わると、地元釜山にあるダンススクールに通っていた少年ジミンは、ストリートダンスに最も近いジャンルの現代舞踊を学ぶため、釜山芸術学校に進学。
彼のしなやかな舞い、抽象的な動作で人の心を動かす独歩的スタイルは、ここで形成されていく。中学からジミンを見守って来たダンス講師は「ジミンはアイデアバンクな上に、それを体で表現できる子だった」と、後に証言。
それほどまでに、ジミンはダンスと真摯に向き合い、悩み、努力を重ねて具現化することに労力を惜しまなかった。
デビュー後のインタビューで、ジミンは「コンサートは、単純なパフォーマンスを披露する場所ではなく、表現できない感情や世界観を、メンバーや観客、スタッフと共有する場所だ」と話しており、この言葉こそが、彼を”アイドルの中のアイドル”とする所以としたい。
ジミンにとってパフォーマンスとは、コンサートという場所を媒介して、物理的表現を超えた”何か”をファンと共有し合うもの、ひいてはそれを作る人と観る人の間を結ぶ、感情の架け橋なのだ。
“キリングパート製造機”と呼ばれるまで
ジミンはBTSにおいてメインダンサーであり、リードボーカルも務めている。
ファンにとってはそれが当たり前のことだが、デビューに至るまでの練習生時代、あまりにもつらかったがゆえ、チームを離れようという気持ちがジミンの脳裏に8回訪れたという。
当時の彼の生活パターンは、学校が終わると夜中の3時~4時頃までダンスの練習を行い、少し仮眠を取った後にボイストレーニングをして、そこから学校へ通うというもの。
常人では、とうていやりきることができない生活であることが容易にわかるが、もし本当に、彼がこの生活に疲れてアイドルの夢をあきらめていたらと思うとゾッとする。
しかし、彼の努力は決して裏切らなかった。
魅惑的でかつ悲壮感漂うボーカルトーンを構築し、全てが天然色へと変貌するような『Lie』、自身が「声の微妙な違いを強調しながら、細部まで集中した」という『Serendipity』、RMに「ジミンのかすかな高音が曲を完全なものにした」と言わしめた『FAKE LOVE』まで、彼の歌声はまさに”完璧”なのだ。
もちろん、『血、汗、涙』も例外ではない。
彼の存在感をして『キリングパート製造機』と呼ばれる理由は、とめどなくある。
しかし当の本人は「基礎がしっかりしてないから、個性から見つけ出しただけ」と、自身の実力に満足していない姿勢を見せた。これは果たして謙遜か高みを目指す欲望か‥。
***
かつて英BBC Radio1の司会者、アデル・ロバーツが「一度ジミンインするとジミンアウトできない」という名言を残したが、3月10日、12日、13日の対面コンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – SEOUL』ではどれだけの人が、”ジミンイン”することになるのだろうか。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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