• BTSデビュー12周年イベント『2025 BTS FESTA』にて、象徴的存在であるクジラの巨大オブジェが登場。
  • 楽曲『Whalien 52』に象徴される「孤独なクジラ」は、BTS自身のアイデンティティとファンへのメッセージを内包している。
  • クジラは希望・絆・追悼の象徴として多層的に受け取られ、今もなおBTSとARMYをつなぐモチーフとなっている。
『We are Bulletproof : the Eternal』スクリーンショット

『We are Bulletproof : the Eternal』MVスクリーンショット

高陽(コヤン)市KINTEXで開催された『2025 BTS FESTA』会場中央に、巨大なクジラのオブジェが姿を現した。

2025年6月13日から、BTSのデビュー12周年を記念する祝祭『FESTA』は、今年もオン・オフラインで大規模に展開される。例年通りのファンとの交流に加え、今年は特にクジラが象徴的にフィーチャーされ、その存在感が話題を集めている。

このクジラは単なる演出装置ではない。BTSにとって、そしてファンダムであるARMYにとって、クジラは長年にわたり深い意味をもってきた存在。その始まりのひとつは、2015年に発表された楽曲『Whalien 52』にさかのぼる。

この曲は、通常のクジラと異なる周波数の52ヘルツでしか鳴けない、いわゆる“世界で最も孤独なクジラ”である「52ヘルツクジラ」に着想を得て作られたものである。楽曲タイトルには、「Whale(クジラ)」と「Alien(異邦人)」が組み合わされており、「誰にも届かない声」を持つ存在としての自分自身を重ねているようだ。

リーダーのRMをはじめ、BTSの主要メンバーが制作に関わったこの曲には、当時ヒップホップとアイドルの間で揺れていたグループの複雑なアイデンティティが重ねられている。

2015年に開かれた『BTS’花様年華 on stage』記者会見でジョングクが語ったように「寂しいクジラに私たちを例えた」という『Whalien 52』は、自分たちがどこにも完全に属さない感覚、その孤独さえも受け入れて進む決意の表れだったという見方もある。だからこそ、この曲はBTS自身の成長物語であり、ファンに向けた「自分だけの周波数を信じろ」というメッセージとしても響いているようだ。

この“孤独なクジラ”はその後も様々な形で登場してきた。たとえば、2020年に発表された『We are Bulletproof : the Eternal』のミュージックビデオでは、メンバーたちがクジラとともに夜空を泳ぐシーンが印象的に描かれている。7人で困難を乗り越えるという絆の象徴として、クジラは再び現れたのである。

さらに、コンサートで登場する模型やグラフィックの中にもクジラはしばしば見られる。ファンたちはそれを「希望の象徴」「新しい春を待つ心」として受け取っているようだ。また、韓国社会においてクジラは、2014年のセウォル号沈没事件などの記憶とも重なり合い、亡くなった者たちへの祈りや再会の願いという文脈でも語られている。

BTSにとってのクジラとは何か‥それは孤独と向き合う勇気であり、どこにも届かないかもしれない声を出し続けることの尊さであり、そしてその声に耳を傾けてくれる存在との出会いであるようだ。

12年という歳月を経て、BTSはすでに“孤独なクジラ”ではなくなったのかもしれない。しかし、その象徴を抱き続けることで、誰かの声なき声に寄り添い続ける存在でありたいという意思だけは、今もなお変わらぬまま響いているようである。


BTS ‘We are Bulletproof : the Eternal’ MV

編集長コラム

Danmee編集長のコラムです。韓国芸能界の出来事やネットの話題を分かりやすく解説しております。日本のマスコミが滅多に取り上げない様々な韓国情報を読者の方々と共有していきたいと思います。

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