まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中を魅了している、BTS(防弾少年団)。高まり続ける人気と巨大ファンダムで、一大ムーブメントを見せている彼ら。BTSの快進撃を見ていると思い出されるのが20年前、日本をはじめとしたアジア全域に、同じような勢いで韓流ブームを根付かせた俳優ペ・ヨンジュンのムーブメントだ。
今、世界中から注目を浴びている7人組ボーイズグループ、BTS(防弾少年団)。
5月21日にリリースしたシングル『Butter』が、アメリカ・ビルボードのメインシングルチャート”Hot 100″のトップを数週に渡ってキープし続けた。
かと思えば、2度目となるエド・シーランとのコラボ曲『Permission to Dance』のミュージックビデオは、公開からわずか52時間で1億回再生を達成するなど、BTSは世界を相手に驚異的な記録を見せつけている。
アメリカの音楽シーンにおいて、これまで欧米人シンガーが席捲していた数々の快挙を超えるかのような新しい記録を続々と樹立。アジアだけでなく世界中の人々を熱狂させ、虜にしてしまったK-POPスター、それがBTSだ。
BTSの快進撃と20年前の韓流ブーム
彼らの活躍は、20年前に日本で起きた爆発的な韓流ブームを思い起こさせる。
当時、その中心となったのは、ドラマ『冬のソナタ』と、主演俳優であるペ・ヨンジュンだ。
日韓ワールドカップ(2002 FIFAワールドカップ)が開催される直前、韓国KBSで放送された『冬のソナタ』が、2003年にNHK BSにて日本初放送を迎えた。ワールドカップ効果で人々の興味が韓国文化へと向いていたこともあり、このドラマが爆発的なヒットとなる。
作品に絶大な支持が集まると同時に、主演を務めたペ・ヨンジュンにスポットが当てられた。
まさに彗星のごとく現れたスター、ペ・ヨンジュンに、日本をはじめアジア中が熱狂した。
彼の人気を受け、『冬のソナタ』以外の韓国ドラマも脚光を浴びるようになり、そのドラマで主演を務める俳優らも高い人気を得ている。
ドラマや俳優らの人気はやがて、ドラマのOSTにまで広がり、劇中挿入歌を担当した韓国人シンガーの歌声に酔いしれるファンも急増。韓流ファンがドラマから俳優、そして韓国人シンガーへと興味を広げ、その結果、K-POPが日本の音楽シーンに根付いたのだ。
もはや洋楽やJ-POPと同じように、自然に溶け込んでいたK-POPは、昨年の新型コロナウイルス感染症の蔓延=巣ごもり生活をきっかけに、さらにブームを巻き起こすことになる。
全世界を魅了する存在、BTSが根付かせる”K-POP”
20年前、人々の前に突如現れたアジアンスター、ぺ・ヨンジュン。
何の予兆もなく、いきなり火が付いた韓流スターの誕生に、日韓の多くの人たちは頭の中が”はてなマーク”でいっぱいだったはず。しかも、突然の出来事である彼の登場が、日本をはじめ様々な国に新しいカルチャーを根付かせてしまった。
21世紀のスタートとともに人々を驚かせた出来事が、20年後の2021年に再び起きている。それがBTSの活躍だ。
アメリカの音楽シーンにアジア系のスターが名を馳せることは、かなり稀なことだ。
それも一部のファンに支持される、いわゆるオタク層ではなく、大衆から愛されるメジャーシーンとなると、かなり珍しい出来事だろう。
日本の芸能界で活躍を見せる日本人のバンドやアイドルでさえも、そこに仲間入りを果たすのは至難の業であることは周知の事実だ。
欧米諸国にはまだ、アジア圏を下に見る人も少なくはない。ゆえにK-POP自体を上から目線で眺め、大したことないと決めつける人もいる。
しかし現在、BTSというグループが浸透し、ワールドスターという称号を手に入れた彼らの活躍により、K-POP自体が脚光を浴びるようになった。
BTSをはじめ、TOMORROW X TOGETHER(トゥモローバイトゥギャザー/TXT)、SEVENTEEN(セブンティーン)、TWICE(トゥワイス)など、日本でも高い人気を誇る彼らも、欧米ではトップスターの座を射止める勢いを見せている。
世界にK-POPが浸透した理由は
20年前のペ・ヨンジュンブームと現在のBTSブーム。韓流ドラマ、K-POPといった1つの韓流コンテンツが、海外でカルチャーにまで進化したのは、*トリクルダウン効果もあると見られている。
*トリクルダウン効果(理論)‥富のしずくが高所得者層から中所得者層、さらに低所得者層へとこぼれ落ち、その結果、経済全体が良くなるといった考え方。ここでは、1人の大スタ―(もしくは、グループ)が誕生した余波を受け、周りにいるスターたちも脚光を浴びるという意味で使用。
ペ・ヨンジュンをスタートに、冬ソナ以外のドラマを見始めたファンたちは、そのドラマの主演俳優にも恋をする。そこから”推し”の幅が広がり、ペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン‥と”推し”の数が増えていく中で、日本に韓流コンテンツが定着した。
BTSも同じだ。
ビルボードの常連になりつつある彼らは、「アジア人が?」と斜に構えた人々の顔をK-POPに向けさせた。さらに「アジア人が人気になった秘密を知りたい」「どんな音楽なのか気になる」という好奇心がK-POPへの沼入りをさせ、そこでまた別のK-POPアイドルに注目が向けられる。結果、多くのK-POPアイドルが知名度を得ることが出来、同時に人気も上昇していくのだ。
これまでK-POP好きは一部の音楽ファンのみに見られ、オタク扱いされていたが、今では世界中で市民権を獲得し1つのジ音楽ャンルとして定着した。
さらなる進化を遂げる、K-POPアイドル
K-POPが各国の音楽シーンに浸透すると、K-POPアイドルはさらなる進化を見せることになる。
これまでは韓国で韓国語で歌うアイドルをそう呼んでいたが、今度は現地の言葉を使うK-POPアイドルが誕生した。その代表と言えるのは、Niziプロジェクトから誕生した9人組のガールズグループ、NiziU(ニジユー)だ。
先日、進化系アイドルとなったNiziUを輩出したNiziプロジェクトの男性版、『NiziUProject Season 2』も始まり、さらにBTSの所属事務所HYBEが買収したアメリカ企業イサカ・ホールディングスから、アメリカ版のBTSを誕生させようとしているといった噂話も流れている。
自国を拠点としたK-POPスターを登場させるべく、世界各地で動き出したようだ。
1つのパズルのピースであった、韓流ムーブメントのキッカケ。それが集まり、増え続け、これまで見たことのないような壮大な画を完成させようとしている。
“ヨン様”でスタートした韓流ブームが2021年を迎え、前人未到の快挙を成し遂げようと突進中だ。20年前、誰がこのような未来を予想しただろうか。K-POPの快進撃はスピードを上げ、まだまだ続いていく。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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