BTS(防弾少年団)が所属する事務所、Big Hitエンターテインメントが年末に開催するライブで、いまは亡き大物ミュージシャンとコラボレーションすると報じられた。韓国音楽界をけん引した偉大な人物、故シン・ヘチョルさんとはどのような人物なのか。

12月31日に、Big Hitエンターテインメント(以下、Big Hit)主催のレーベル合同公演『2021 NEW YEAR’S EVE LIVE(ニュー・イヤーズ・イブ・ライブ)』の開催が決定した。本公演では人工知能(AI)技術で制作されたホログラムを通じて、故シン・ヘチョルさんとBig Hit所属アーティストらとのコラボレーションステージが登場する。

Big Hitエンターテインメントに所属しているBTS

Big Hitを代表するアイドル、BTS(画像出典:BTS facebook)

彼らはシン・ヘチョルさんのヒット曲『君に』と『君が本当に望むものは何』のプロトタイプなど、2曲を時空を越えて共演。両曲とも韓国サウンドとリズムをベースに編曲されたバージョンでお届けする予定だ。

ここで気になるのが”シン・ヘチョル”なる人物だ。

彼はBig Hit設立者であるパン・シヒョクが敬愛し、彼に多大な影響を与えたミュージシャンの一人と推測される。
歌手、シンガーソングライターをはじめ音楽プロデューサーやラジオDJとしても活躍を見せ、また社会運動家という一面も持つ頭脳明晰な人だった。しかし、2014年に医療事故によりこの世を後にしている。

シン・ヘチョルさんは生前、韓国音楽界に欠かせない存在であり、後の韓国音楽界で第一線で活躍する人たちに大きな影響を与えている。

1988年、MBC大学歌謡祭で無限軌道というグループで音楽活動をスタート。その後、ソロへと転身したシン・ヘチョルさんは、1991年にロックバンド、N.EX.T(ネクスト)を結成し、リードボーカルとして90年代の音楽シーンをリードしてきた。あらゆるジャンルで才気煥発だった彼は”魔王”と呼ばれ、韓国音楽史を代表する伝説的な人物となった。

故シン・ヘチョルさん

故シン・ヘチョルさん(写真提供:©スポーツ韓国)

ロックミュージックからスタートし、テクノやジャズ、国楽に至るまで、多様なジャンルの音楽をしようと試み、大衆歌謡では見られなかった哲学的な歌詞を多く作り、評壇の好評とともに商業的にもかなり成功を収めたミュージシャンだ。

現在の音楽シーンはK-POPが多くを占め、バンドというスタイルは衰退しているのが現状だ。しかし当時はバンドであるN.EX.Tが一世風靡し、メジャーデビューしたバンドの中で最も人気を博したと称さると同時に、バンドでこのような人気を果たしたのは彼らが最後だとも言われている。

また、作詞、作曲、編曲、楽器演奏はもちろん、プロデュース、エンジニアリング、音楽作業のためのコンピュータープログラム開発まで手がけた万能ミュージシャンとしても知られている。韓国のコンピューター音楽、いわゆるミディ音楽の先駆者兼パイオニアとも言える。Psy(サイ)、ソ・テジらも、シン・ヘチョルさんからサンプラーをはじめ、各種メディア音楽装備の使い方などを学んだという。

ミュージシャンとして韓国音楽界を輝かしいものへと築いた人物である一方、シン・ヘチョルさんは進歩主義や自由主義的な性向で活動し、討論番組に最も多く出演した芸能人でもある。また、社会的通念を破る彼のトークは自身のラジオ番組でも惜しみなく披露され、約10年もの間、高い聴取率を誇っている。

このように、音楽シーンにおいても社会活動においても多大な革命をもたらした、シン・ヘチョルさん。年末に開催される『2021 NEW YEAR’S EVE LIVE』ではシン・ヘチョルさんを称える献呈ステージとなる予定だ。

一方、『2021 NEW YEAR’S EVE LIVE』はBig Hit傘下のレーベル所属歌手らが一堂に会する初のステージで、来る12月31日の午後9時30分から京畿道(キョンギド)一山(イルサン)のKINTEXで開催される。
出演は、BTS(防弾少年団)とイ・ヒョン、BUMZU(ケイ・ボムジュ)、NU’EST、GFRIEND、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPENなどを予定している。



BTS

BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。

HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。

デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。

ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。

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