- 9月27日、秋夕(チュソク)連休にあわせて、韓国映画の話題作が一気に3本公開となった。
- しかし、100万人動員を超えたのは1作のみ、その他は期待以下の集客に終わった。
- 今年は昨年の秋夕成績にも及ばず、関係者は「映画界は再び厳しい時期を過ごさなければならない」と嘆いている。
9月27日、韓国を代表する俳優たちが主演を務める映画が、一気に3本公開された。
公開日が重なった理由は、韓国で「秋夕(チュソク)」と呼ばれるお盆休みが始まるから。秋夕は、韓国映画界の大事な繁忙期であるため、集客力アップの効果を狙った戦略なのである。
今年(2023年)は、秋夕と祝日がつながったことで、実質9月28日から10月3日までの6日間の連休。
韓国映画界では、赤字・黒字の別れ道となる“損益分岐点(累積観客動員数)”を超えられなければ「失敗作」として評価を下されることがあるため、この秋夕という大きなチャンスを逃すわけにはいかない。
果たして、“秋夕効果”を狙って公開された期待のビッグ3作品は、どこまで興行成績を伸ばせたのだろうか。
『チョン博士退魔研究所:ソルギョンの秘密』
まずは、カン・ドンウォン主演の『チョン博士退魔研究所:ソルギョンの秘密(以下、チョン博士)』。幽霊を信じないものの、幽霊のような洞察力を持った偽の退魔師チョン博士(カン・ドンウォン扮)が、今まで体験したことのない事件の依頼を受けて展開していく物語。
公開5日目に、韓国国内での累積観客数が100万人を突破し、秋夕の興行成績は151万人を動員。これは3作中1位の記録だが、損益分岐点240万人超えを目指すには、まだまだ足りない。
●出演:カン・ドンウォン、ホ・ジュノ、イ・ソム、イ・ドンフィ 他
●製作費:113億ウォン(約11億3千万円)
●損益分岐点:240万人
『1947 ボストン』
続いて、イム・シワン&ハ・ジョンウ共演作『1947ボストン』は、1947年、独立後に初めて太極マークをつけ、国際大会のボストンマラソンに出場したソ・ユンボク選手の実話をもとに製作された作品。
秋夕の興行成績は、3作中2位の73万人動員。しかし、製作には210億ウォンという大金が投入されただけに、損益ゼロの目標値となる損益分岐点450万人にはほど遠い。
●出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ 他
●製作費:210億ウォン(約21億円)
●損益分岐点:450万人
『クモの巣』
3作目、ソン・ガンホ主演の『クモの巣』は、1970年代に撮り終えた映画『クモの巣』の結末だけを取り直せば傑作になると信じるキム監督(ソン・ガンホ扮)が、検閲の妨害や変わった内容を理解できない俳優と制作陣など、悪条件の中で撮影を行ったことで巻き起こるヒューマン映画。
製作費は約100億ウォンで、損益分岐点は200万人だが、秋夕の興行成績は3作中最下位の26万人動員と、残念な結果となった。
●出演:ソン・ガンホ、イム・スジョン、オ・ジョンセ、チョン・ヨビン 他
●製作費:96億ウォン(約9億6千万円)
●損益分岐点:200万人
今年の韓国映画は凶作?
秋夕の期待作3本の成績について、韓国のマルチプレックス関係者は「事実上、3つとも失敗」と厳しい評価を下した。
関係者は「一週間も続いた連休に、損益分岐点200万人に達しなかった映画を成功したと言えるのか」と話す。
動員数150万人を超えた『チョン博士』は善戦したものの、韓国のスター俳優たちの出演作で、連休が6日間あったことを考えても、3作合計の観客数が250万人を少し超えた程度というのは少なすぎるよう。
しかも、昨年の秋夕連休は、9月9日~12日と週末を含めて4日しかなかったが、その記録にも及ばなかった。
一日の観客数が85万人まで急増した昨年に比べ、今年集客1位の『チョン博士』の連休一日の最大観客数は30万人だった。
また昨年、秋夕直前の9月7日に公開されたヒョンビン主演の映画『共助2:インターナショナル(原題)』は、連休初日に53万人の観客を記録し、連休だけで累積330万人を動員。最終的に、総観客数は698万人を超えるヒット作となっている。
秋夕連休にうまくいった映画は、その後口コミで人気が広がることもあるが、今年はその効果さえ期待するのが難しそうだ。
連休最終日の10月3日には、カン・ハヌル&チョン・ソミン主演のコメディー映画『30日』が公開されている。
秋夕期待作の公開から7日目を迎えたボックスオフィス順位は、新作『30日』におされ、『チョン博士』が2位、『1947ボストン』4位、『クモの巣』7位まで下落。
全体前売り率では『チョン博士』が1位を誇る人気を見せてはいたが、それも3位まで落ちてしまい、今後の興行が望めるかというとわからない。
韓国の制作会社関係者は「今後、年末までこれといった期待作がない。今年の秋夕の“収穫”に失敗し、映画界は再び厳しい時期を過ごさなければならない」と嘆いている。
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