- 大物韓流スターのヒョンビンと、中国出身の女優タン・ウェイが主演を務めた韓国映画『レイトオータム』。
- 公開から約12年の時を経て、”4Kリマスター版”で戻ってくることに。
- しかしこの作品には、12年前の公開当初に起こったビハインドが隠されている。
韓流スターのヒョンビンが主演を務めた韓国映画『レイトオータム』(2011)が、公開から約12年の時を経て”4Kリマスター版”で戻ってくる。
2011年に公開された本作は、DVの夫を誤って殺めてしまった服役囚と、誰かに追われている男の72時間限りの切ない大人のラブロマンスを描いている。
今回、最新の技術を駆使し高画質化した4K版に映像をリマスター。11月8日(水)より韓国の劇場で公開予定。
12年前の公開当初を振り返ると、MBC『私の名前はキム・サムスン』(2005)で韓流スターの仲間入りを果たしたヒョンビンと、韓国でも高い知名度と人気を誇る中国出身の女優タン・ウェイがW主演を務めたことで一躍話題に。
韓国だけでなく中国の映画ファン、韓流ファンの間でも「今か今か」と、公開が楽しみといった声が多く上がっていたという。
しかしこの大きな話題作には、実は封切りにまつわる知られざる”ビハインド”が隠されている。
当時、アジアのスター俳優、ヒョンビンとタン・ウェイを主演に迎え、まだ極寒が続く2010年1月に撮影がスタート。
撮影は順調に進み、約2カ月後の3月1日には無事全てのシーンを撮り終え、本作はクランクアップを迎えた。
撮影後は、映像や音声の編集、色の調整などの仕上げ作業のことを示すポストプロダクションや、映画を宣伝するプロモーションなどといった一連の流れを経て、最短でも半年、長くて1年ほどで公に披露されるのが、韓国映画界では一般的とされる。
だが本作には、誰もが予想だにしなかった配給問題が勃発。公開スケジュールが難航してしまうのだった。
本作の原題である『晩秋(만추)』は「遅い秋」という意味。
その意味の通り、映画制作側は当初、撮影終了年の深秋の時期に上映を目指していたという。
にもかかわらず、配給会社であるCJ ENM MOVIEとSBSコンテンツハブが難色を示し、無念にも公開日が定まらなかったようだ。
そのような状況下で、裏側の配給問題を知らない多くの映画ファンや、韓流ファンからの熱いラブコールは連日続き、公開日に対する期待度はさらに高まっていった。
多くのファンの期待とは裏腹に、配給事情により公開日の後回しが続いていた本作だが、あるドラマをきっかけに急展開を迎える。
それは、ヒョンビンが主演を務めたドラマ『シークレット・ガーデン』(SBS/2010)。
2010年11月より韓国SBSで放送がスタートした本作は、ヒョンビン、ハ・ジウォン、ユン・サンヒョンといった豪華キャストが名を連ね、最高視聴率31.4%と大ヒットを記録した。
そこで想像をはるかに超える大成功を目の当たりにした配給会社が突如、態度を急変させてきたのだ。
配給会社は『シークレット・ガーデン』人気に便乗するかのように「今公開しなければ」「ヒョンビン主演だから今じゃなきゃ」と言わんばかりに映画の公開を急ぎ始めた。
クランクアップから数カ月が経ち、配給会社の意思は頑なに変わらず公開の希望が薄れていた本作だったが、ヒョンビンの主演ドラマの大ヒットにより配給問題が一気に解決し、期待作へとさらに注目を浴びるように。
そして制作側の意向通りにはならなかったものの、2011年2月17日にようやく韓国で上映されることになった。
これについて本作の監督を務めた、キム・テヨン監督が「ヒョンビンに感謝しなきゃ」とコメントするほど、彼が持つ人気と影響力が公開日未定で埋もれかけ寸前だった映画『レイトオータム』の危機を救ったのだ。
『シークレット・ガーデン』の主演がヒョンビンではなく別の俳優だったり、大ヒットしていなければ、この映画はどのような運命を迎えていたのだろうか。
『レイトオータム』
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