• 今から13年前の2013年。日本で巻き起こった”第2次韓流ブーム”。
  • この年は国民的ドラマと称される『製パン王キム・タック』をはじめ、高視聴率の作品が数多く誕生した年でもある。
  • 今回、2010年にKBS・MBC・SBSの年末の祭典で大賞・最優秀賞に輝いた俳優・作品をご紹介!

今から13年前の2010年に、日本を大いに盛り上げた”第2次韓流ブーム”。

国民的ドラマ『製パン王キム・タック』(KBS/2010)をはじめ、高視聴率をマークしたヒット作が誕生した年。例年に比べ、熾烈な戦いが繰り広げられた。

そして御曹司との恋や記憶喪失、出生の秘密などドラマチックな背景設定が大多数だった2000年代の作品に比べ、働く大人や就活生など現代を生きる人物に焦点を当てた作品が数多く制作・放送された年でもある。

今回本記事では、最高視聴率30%超の名作が多数誕生した2010年の韓国ドラマに注目。

当時の韓国大手放送局SBS・MBC・KBSの年末の祭典「演技大賞」で大賞・最優秀演技賞に輝いた俳優・作品をご紹介!※MBCのみ「最優秀賞」

KBS演技大賞

2010年12月31日に開催。この年KBSからは、全1話完結のスペシャルドラマを含む、46作品が誕生。

日本のドラマを原作にした『ドラゴン桜 (韓国版)』や、今や大物韓流スター チ・チャンウクの出世作である『笑ってトンヘ』、最高視聴率50.8%を記録した『製パン王キム・タック』など、韓ドラファンにおなじみの作品が放送された。

大賞 チャン・ヒョク

2002年にKBS作品で大賞に輝いた俳優は『推奴~チュノ~』で主演を務めたチャン・ヒョク。

『推奴~チュノ~』で大賞に輝いたチャン・ヒョク (©TOPSTAR NEWS)

最高視聴率35.9%をマークした本作は、初恋の相手オンニョンを捜し回るうちに奴婢を追う推奴(チュノ)師になったイ・デギルと、奴婢の身分に転落した朝鮮王朝の武将ソン・テハ、そして同じくして追われる身のキム・ヘウォンの3人の物語を描いたアクション時代劇だ。

この作品で裕福な両班家で育ち、やがて朝鮮一の推奴師として朝鮮中を走り回るデギル役を熱演。

チャン・ヒョクと言えば真っ先に浮かぶキャラクターとして「イ・デギル」が挙げられるほど、彼の俳優人生にとって重要な役柄となった。

彼は本作で、世界的スターのブルース・リーが開発した截拳道(ジークンドー)を代役なしで華麗なアクション演技を披露。アクション俳優としての新しい可能性を開き、彼の迫力満点のアクションシーンは多くの視聴者から好評を得ている。

最優秀演技賞(俳優編) キム・ガプス

最優秀演技賞は、2010年にKBS作品『推奴~チュノ~』『キム・マンドク〜美しき伝説の商人~』『トキメキ☆成均館スキャンダル』『シンデレラのお姉さん』の4作(スペシャルドラマは除く)で名演技を繰り広げたキム・ガプスが受賞。

この年、彼の俳優人生で最多の9本のドラマに出演し、時代劇からメロドラマなど様々なジャンルに挑戦した。

KBS時代劇の『推奴~チュノ~』で朝鮮第16代王の仁祖を、『キム・マンドク〜美しき伝説の商人~』ではハ・ソクジン扮するカン・ユジの父カン・ゲマンを、『トキメキ☆成均館スキャンダル』では老論党首でユチョン演じるソンジュンの父、イ・ジョンムを演じた。

さらに現代劇の『シンデレラのお姉さん』では、ソウ扮するヒョソンの父ク・デソン役を熱演。

彼が演じる役柄は、亡くなり結末を迎えることが多いことから別名「死亡専門俳優」と呼ばれている。特に2010年に出演したドラマでは、出演作品9作のうち5作がその別名に該当する。

最優秀演技賞(女優編) ムン・グニョン、チョン・イナ

女優では『シンデレラのお姉さん』で主演を務めたムン・グニョンと、国民的ドラマ『製パン王キム・タック』出演のチョン・イナの2人が最優秀演技賞を獲得した。

まず韓国中に感動を届けた『シンデレラのお姉さん』は、長年の伝統を誇るマッコリ酒造所を舞台に、母親の再婚で姉妹となった家庭環境が異なる少女2人の物語を描いたドラマだ。

ムン・グニョンは劇中「シンデレラの姉」で人に頼ることも甘えることもできない悲しき悪女ソン・ウンジョ役に変身。

子役からスタートし、国民の妹として愛される彼女が初の悪役に挑戦し、話題を集めた作品でもある。

一方、同時受賞したチョン・イナは『製パン王キム・タック』でタックの実父でコソン食品会長ク・イルチュンの妻ソ・インスク役を演じた。

本作は、70年~80年代の韓国製パン業界を舞台にコソン食品の創業家、ク家の血を受け継ぐキム・タック(ユン・シユン扮)とク家の長男ク・マジュン(チュウォン扮)、そして周囲の人々の人間ドラマを描いた作品。

これまで数々の作品に出演し、今年で芸歴38年を迎えるチョン・イナにとってソ・インスク役は代表的なキャラクターだという声が多く聞こえる。

MBC演技大賞

2010年12月30日に開催。

この年MBCからは、スペシャルドラマなどを含む27作品が誕生。イ・ソンギュン×コン・ヒョジン主演の『パスタ〜恋が出来るまで〜』や、高視聴率をマークした『トンイ』そして日本漫画原作の『イタズラなKiss〜Playful Kiss』などが放送された。

大賞 キム・ナムジュ、ハン・ヒョジュ

『2010MBC演技大賞』で大賞に輝いたのは『逆転の女王』のキム・ナムジュと、『トンイ』のハン・ヒョジュの2人。

『2010MBC演技大賞』で大賞を受賞したキム・ナムジュとハン・ヒョジュ (©TOPSTAR NEWS)

『逆転の女王』は、大手美容業界の企画開発室でチーム長を務めるファン・テヒは結婚を機にキャリアウーマンの座から退くも、夫ジュンスがリストラ対象者となり、家計を支えるため再び入社し奮闘する痛快ラブコメディだ。

キム・ナムジュは本作で、バリバリのキャリアウーマンから平凡な主婦ファン・テヒ役を演じた。

執筆当初、ファン・テヒ役にキム・ナムジュがふさわしいと思いながら書き進めていたパク・ジウン作家は、彼女に数回出演オファーをし断られたという。しかしパク作家の熱意が伝わったのか、晴れてキャスティングが決定し、大ヒット作となった。

一方、ハン・ヒョジュが主演を務めた『トンイ』は17世紀後期を舞台に、名君・英祖の母トンイの波乱万丈な生涯を描いた韓国時代劇。本作でヒロイン、トンイを熱演した。

彼女は『2010MBC演技大賞』で大賞の他に「女性人気賞」、『第3回 コリアドラマアワード』では「女性主演賞」、『第47回 百想芸術大賞』では「TV部門 女性最優秀演技賞」、『香港有線TVベストドラマ授賞式』では「人気ドラマ ヒロイン賞」を受賞し、本作だけで5冠を達成している。

最優秀賞 チョン・ジュノ、チ・ジニ、コン・ヒョジン、シン・ウンギョン

最優秀賞は4人同時受賞となった。『逆転の女王』のチョン・ジュノ、『トンイ』のチ・ジニ、『パスタ〜恋が出来るまで〜』のコン・ヒョジンそして『欲望の炎』のシン・ウンギョンだ。

まず芸歴28年のチョン・ジュノは『逆転の女王』でキム・ナムジュ扮するファン・テヒのダメダメ夫ポン・ジュンス役を熱演。

本作では『MBC演技大賞』のみの受賞だったが、安定的な演技力と視聴者を大いに盛り上げるコミカル演技で、韓国のみならず日本の韓ドラファンにも高評価を受けている。

一方、チ・ジニは『トンイ』で朝鮮王朝第19代王の粛宗役に抜擢された。

『トンイ』は、日本でも知名度が高い2003年放送のMBC『宮廷女官チャングムの誓い』の演出を担当したイ・ビョンホン氏が手掛けた作品としても有名。チ・ジニは「チャングム」に続き2度目のイ・ビョンホン氏演出作出演となる。

同授賞式で、最優秀賞の他に「キャラクター賞」も獲得している。

『パスタ〜恋が出来るまで〜』でイ・ソンギュンとW主演を務めたコン・ヒョジンは、超一流イタリアンレストランで修行に励むソ・ユギョン役に変身した。

本作はイタリアンレストランを舞台に、一流シェフを目指すユギョンが孤軍奮闘するラブコメディ。

彼女が出演する作品は、2007年頃から連続して高視聴率に恵まれることから、ドラマキャスティング1位の俳優として広く認知されている。

『欲望の炎』からはシン・ウンギョンが最優秀賞に輝いた。

本作は、大西洋グループ一家や自分の欲望のためなら手段を選ばないナヨンらが繰り広げるドロドロ愛憎劇。

シン・ウンギョンは玉の輿を目指す欲だらけのユン・ナヨン役を演じた。

171cmという高身長を誇る彼女は、相手役を脅迫するシーンでは身長のせいか、脅威的に見えると言われている。しかし生まれ持った高身長と迫力ある演技力で劇にリアルさを持たせていると好評に。

SBS演技大賞

2010年12月31日に開催。

SBSからは21作品が誕生(スペシャルドラマを含む)し、キム・ジフン主演の『星をとって』や大河ドラマ『ジャイアント』、ヒョンビン主演の『シークレット・ガーデン』などが放送された。

大賞 コ・ヒョンジョン

『2010SBS演技大賞』の大賞に輝いたのは、『レディプレジデント〜大物』で主演を務めたコ・ヒョンジョン。

『レディプレジデント〜大物』で大賞に輝いたコ・ヒョンジョン (©TOPSTAR NEWS)

最高視聴率27.5%をマークした本作は、当時韓国初の女性大統領を目指すソ・ヘリムと、彼女を陰ながら支える検事ハ・ドヤの物語を描いたラブロマンスだ。

コ・ヒョンジョンは、放送局のアナウンサーから韓国初の女性大統領へと上り詰めるソ・ヘリム役に抜擢され、好演を披露し多くの視聴者に愛された。

初回放送で同時間帯の視聴率第1位を獲得し、女優の中で唯一、過去5作連続1位を記録している。

ドラマスペシャル部門最優秀演技賞 クォン・サンウ、ヒョンビン、ハ・ジウォン

「ドラマスペシャル部門最優秀演技賞」では、『レディプレジデント〜大物』のクォン・サンウと『シークレット・ガーデン』でW主演を務めたヒョンビン、ハ・ジウォンの3人が受賞。

クォン・サンウは『レディプレジデント〜大物』で喧嘩に明け暮れていた元不良高校生で現検事のハ・ドヤ役を務め、本作を通じて「最優秀演技賞」の他に「10代のスター賞」にも輝いた。

一方ヒョンビンとハ・ジウォンの共演作『シークレット・ガーデン』は、ロエルデパートのCEOを務める御曹司のキム・ジュウォンと、アクション監督を夢見るスタントウーマンのキル・ライムの魂が入れ替わり繰り広げるファンタジー・ラブロマンス。

ヒョンビンは恵まれた環境で育った財閥2世のキム・ジュウォンを、ハ・ジウォンはスタントウーマンとして下積み生活を送るキル・ライム役を演じた。

「魂が入れ替わる」という斬新なテーマで最高視聴率31.4%をマークした本作。ヒョンビンにとって『私の名前はキム・サムスン』(MBC/2005)に続く、2度目のブレイク作で、「SBS演技大賞」では最優秀演技賞の他に「10代のスター賞」「ネチズン最高人気賞」「ロマンチックキス賞」「ベストカップル賞」の計5冠を達成した。

さらにハ・ジウォンもまた「ドラマスペシャル部門最優秀演技賞」「10代のスター賞」「ネチズン最高人気賞」「ベストカップル賞」の4冠を獲得。

特別企画部門最優秀演技賞 イ・ボムス、キム・ジョンウン

「特別企画部門最優秀演技賞」では、『ジャイアント』のイ・ボムスと『カムバック マドンナ〜私は伝説だ』キム・ジョンウンの2人が選ばれた。

全60話編成で最高視聴率40.1%を記録した『ジャイアント』は、70年~90年代の韓国を舞台に、建設業界で激動の時代を生きた男たちとその周囲の人々の復讐を描いた物語。

イ・ボムスは、本作で漢江建設の創業者で会長を務めるイ・ガンモ役を演じた。彼はこの作品を通じて主演俳優の座を掴んだと言われている。

「最優秀演技賞」の他に「10代のスター賞」も受賞した。

一方、『カムバック マドンナ〜私は伝説だ』は韓国一を誇る法律事務所の後継者と結婚し、玉の輿に乗ったチョン・ソルヒが肩身の狭いをする結婚生活に終止符を打ち、伝説的なバンドを結成するサクセス・ロマンスドラマだ。

キム・ジョンウンは本作で誰もがうらやむセレブ生活を送るチョン・ソルヒ役を務めた。

彼女は同最優秀演技賞の他に、『第3回スタイルアイコンアワード』の「TVスター部門」で受賞。

連続ドラマ部門最優秀演技賞 ソン・ヒョンジュ、ユ・ホジョン

最後にドラマ『お隣さんは元ダンナ』で元夫婦役を演じたソン・ヒョンジュとユ・ホジョンの2人が「連続ドラマ部門最優秀演技賞」に輝いた。

本作は、離婚した元夫が隣の家に引っ越してくることから始まる恋愛バトルドラマ。

ソン・ヒョンジュは元夫のキム・ソンジェ役を、ユ・ホジョンは元妻のユン・ジヨン役を演じた。

2人とも本作では「連続ドラマ部門最優秀演技賞」のみの受賞となったが、ベテランの威力を見せる優れた演技力で劇中を大いに盛り上げ、最高視聴率24.4%を更新するなど多くの韓国視聴者に愛された作品となった。

*****

ちなみに最高視聴率50.8%と驚異の高視聴率を叩き出し、国民的ドラマとして今もなお名高い作品である『製パン王キム・タック』だが、ユン・シユン、チュウォンといった新人俳優を主演に抜擢したこともあり、惜しくも『2010KBS演技大賞』では主人公になることはできなかった。

ダンミ ニュース部

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