- tvN『パンドラ:偽りの楽園(以下、パンドラ)』の視聴率不振が続いている。
- SBSの大ヒット作『ペントハウス』シリーズを担当した脚本家、キム・スンオクが携わる作品として話題となった『パンドラ』であるが、ネット上では作品に対する厳しい声が寄せられている。
- その理由のひとつとして視聴者を魅了する麻辣(マーラー)味の薄さが挙げられている。
3月11日より放送中のtvN土日ドラマ『パンドラ:偽りの楽園(以下、パンドラ)』が苦戦を強いられている。
『パンドラ』は誰もが羨む人生を歩く女性が、失った過去の記憶を取り戻しながら、自身の運命を裏で操作していた黒幕に反逆を挑む復讐劇だ。
制作にはSBS『ペントハウス』シリーズを手がけ、”韓国泥沼劇の大母”と呼ばれる脚本家のキム・スンオクが参加。
彼女は韓国ドラマの醍醐味とされる泥沼劇の達人と言われており、MBC『私はチャン・ボリ! (2014)』、SBS『皇后の品格 (2018)』など様々な名作を生み出してきた人物として知られている。
その中でも『ペントハウス』は最高視聴率31.5%と驚異的な記録を叩き出した名作泥沼劇で、日本でも大きな注目を集めた作品だ。
そんなヒットメーカーの彼女だが、『パンドラ』では脚本ではなくクリエーターとして制作に携わっている。
脚本はキム・スンオクの弟子と知られるヒョン・ジミン作家が担当した。
放送前から2023年上半期の期待作として注目を集めていた『パンドラ』であったが、放送が始まると視聴者を惹きつける”麻辣(マーラー)味”の欠けた展開に、視聴率が低迷。
これまでの放送を振り返ると、第8話まで放送された4月7日現在、視聴率は第2話の5.7%が最高記録となっている。
泥沼劇は刺激的な素材が扱われ、先の読めない展開が話題を呼ぶことから、回を重ねるにつれ視聴率が自ずと上がりやすい傾向がある。
しかし、ドラマの中に張り巡らされる伏線や、視聴者を虜にするハラハラとした展開は、人気を獲得するために必要不可欠だ。
そんなヒリヒリと刺激的な物語の魅力を韓国では、中華風の鍋料理にちなんで”麻辣味”という。
日本でも人気を集める中国の麻辣鍋。香辛料の効いたスパイシーな辛さは人によって好き嫌いが分かれるが、一度ハマってしまったら抜け出せず、夢中になってしまう人が続出する。
そんな状況に陥ってしまう中毒性のあるドラマの魅力を表す言葉として、使用されている麻辣味であるが、どうやら『パンドラ』の不振の理由には、人々の心を掴む麻辣味の薄さが影響しているようだ。
『パンドラ』の物語を追っていくと、視聴者の好奇心を誘うような設定が数多く散りばめられている。
第1話ではアナウンサーのヘス(チャン・ヒジン扮)が、夫ドジン(パク・ギウン扮)の不倫現場を目撃するシーンが登場。
さらに主人公のテラ(イ・ジア扮)は記憶喪失に陥り、その背景には登場人物たちの欲望が渦巻いている。
不倫、記憶喪失、人間の欲望、復讐など、泥沼劇に必要な要素は十分備わっている『パンドラ』であるが、一部のネットユーザーはそれらの魅力が生かされていないと指摘。
麻辣味が感じられず、反転に反転を繰り返す乱雑なストーリー展開が、視聴者を混乱させる原因の1つとなっているという。
他にも俳優陣の演技力に言及する声も少なくない。
主演俳優にはイ・ジア、イ・サンユン、チャン・ヒジン、パク・ギウンなど、演技に定評があるメンバーが名を連ねているが、ジェットコースターのように心情が変化していく役柄を演じるには、実力が不足しているという厳しい見方もある。
泥沼劇の最高傑作である『ペントハウス』に続く作品と期待されていたからこそ、『パンドラ』の展開や設定に疑問を持つ視聴者も多いようだ。
『パンドラ』は本格的に後半戦に進んでいくが、今後どのようなストーリーが展開されていくのだろうか。
視聴者の多くはキム・スンオク作家の持ち味である、麻辣味の効いたパンチのある泥沼展開に期待を寄せている。
『パンドラ:偽りの楽園』
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