Netflix(ネットフリックス)でじわじわと人気を集めている韓国ドラマ、JTBC『私の解放日誌』。日韓で話題となっているのは、その背景だ。ベッドタウンに住む兄妹が”通勤”をキーワードにそれぞれの人生模様を描いていくのだが、彼らの生活があまりにも身近に感じる設定だという。日本のドラマファンも共感必至の『私の解放日誌』を紹介します!
新ドラマ、JTBC(Netflix)『私の解放日誌』が静かに真価を発揮中だ。
好評のうちに幕を下ろした『気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!』の後続番組として、4月9日よりスタートした『私の解放日誌』。2.9%の視聴率でスタートし、2%台にとどまっていたものの、最近放送された第6話から3.8%に上昇した。
『私の解放日誌』は、野暮な毎日を過ごす3兄妹の愛おしい”幸福蘇生”を繰り広げていく作品だ。代り映えしない毎日から抜け出すべく、3兄妹が奮闘する姿が描かれている。
このドラマの主人公は、首都圏(ベッドタウン)に住む3兄妹。それぞれソウルにある企業に勤めている。
長姉は、リサーチ会社チーム長ヨム・ギジョン(イエル)、2番目はコンビニエンスストア運営会社の代理ヨム・チャンヒ(イ・ミンギ)、末っ子でクレジットカード会社の契約社員ヨム・ミジョン(キム・ジウォン)の3人がストーリーをリードしていく。
魅力は、身近に感じる愛おしいキャラクター
注目すべきはこのキャラクターたちだ。
これまでのドラマでは、主人公のドラマチックな出来事がストーリーを展開していた。彼らのロマンスもキャリアもライフスタイルも、現実では実現し難いファンタジーとして描かれている。そのファンタジーこそが視聴者を惹きつける魅力でもあった。
しかし、『私の解放日誌』は、ファンタジーの代わりに通勤だけで4時間かかる、京畿道山浦に住む3兄妹の日々が描かれている。
ヨム・チャンヒは彼女と物理的な街の現実に勝てずに別れ、ヨム・ミジョンは姉と兄とタクシーに一緒に乗るために雰囲気が熟した席を抜け出さなければならない。タクシーに一緒に乗る理由は、終電後の、高い深夜のタクシー代を節約するためだ。
そして、ヨム・ギジョンは「京畿道民が週末にもソウルに行くのはどういうことか分かる?」と怒りをぶちまけて、退勤後に家に到着してからは元気と体力が底をついたように疲れた顔を見せてくれる。
現実的な日常を切り取った描写に湧く、”親近感”
彼らの姿はどこか、私たちと通ずるものがある。
日本でも首都圏の通勤事情は深刻だ。乗車率100%を超える満員電車に揺られて会社に向かう。始業前にもかかわらず、会社に到着する頃にはかなりの疲労感がまとわりつく。
帰る時もそうだ。仕事で疲れた体をすし詰め状態の電車に押し込め、長時間揺られながら自宅へと帰る。
もちろん長時間の通勤だけが彼らを疲弊させているのではないが、時間を奪われることによって私たちの心の余裕も無くなってしまう。
また、長い通勤時間のせいで退社後の楽しみに制限がかかったりもする。何をするにも電車の時間を気にして行動しなければならず、体力だけでなく気力も奪われてしまい疲れは溜まっていく一方だ。
『私の解放日誌』の放送序盤、過酷な通勤に生気を失った京畿道民の暮らしを現実的に描き出し、共感を与えるという好評もあった。
だが、ストーリーを重ねるにつれ、深まるエピソードに視聴者がさらに没頭するようになった理由は、ドラマでなかなか実現しにくい疎外された人間像と内面の空しさを卓越に表現したためではないだろうか。
長い通勤時間により、エネルギーが消耗し始める3人兄妹には解消されていない空しさがあった。ロマンス、財力、能力と、何一つファンタジーが具現化されていないドラマに、キャラクターの細やかな感情描写と引き立つ台詞がファンタジーより強力な力を発揮した。
多くの人が経験したことのある、過酷な通勤。日本のドラマファンも共感できる内容であることに間違いはないようだ。
『私の解放日誌』ティーザー予告
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