K-POPの全体像を語る際に欠かせない存在は、断然K-POP王国を築き上げたSMエンターテインメントだ。そして今日1月14日は、そんなSMエンターテインメントのグローバル戦略において”成功モデル”と評される東方神起が、ファーストシングル『HUG』を発表した日である。
世界の音楽シーンにおいて、著しい発展を見せているK-POP。
ここ数年、ニッチファンが楽しむマイノリティージャンルだったK-POPは、世界中から熱い視線を注がれるメジャージャンルへと一気にジャンプアップした。
K-POPの醍醐味といえば、複数メンバーで構成されたグループが見る者を圧倒させるパフォーマンスだろう。いわゆる”アイドル・ミュージック”であるが故に、”10代の子がハマる音楽”という意味を持つ”ティーン・ポップだ”と鼻で笑う音楽ファンもいるが、最近はそのファン層が飛躍的に広まっている。
BTS(防弾少年団)やBLACKPINK(ブラックピンク)など、現在活躍中のK-POPアイドルを追う(?)人が続出する中、K-POP産業や歴史、文化的背景など、アカデミックに研究する音楽ファンも少なくない。
“K-POP帝王”の誕生
彼・彼女たちにとって、K-POPの全体像を語る際に欠かせない存在は、K-POP王国を築き上げ、アジア市場を総なめにしたSMエンターテインメント(以下、SM)だろう。そして、SMグローバル戦略の成功モデル・5人以上の男性グループで・歌唱力&ダンスともに海外でも通用する最高レベル――これらの要素を兼ね備えたと評される、東方神起(TVXQ)の存在も、頻繁に言及される。
“K-POP帝王”という、最上級のキャッチコピーをファンから付与された東方神起。そんな彼らにとって1月14日は、K-POP王国の序幕を開いた”歴史的な日”だということをご存じだろうか。
さかのぼること18年前、2004年1月14日に東方神起のファーストシングル『HUG』が発表されたのだ。
“アカペラ・ダンスグループ”として勝負に挑んだ東方神起
東方神起は、2003年12月26日に先輩アーティストのBoA(ボア)と、アメリカの人気アーティストであるブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)のコラボレーションステージで初お披露目を果たす。
その後、前出の『HUG』を発表すると、瞬く間に人気アイドルとなった。
彼らにとって2004年は、言葉の通り”休む暇もない”多忙を極める1年となり、当時最高の人気を誇っていたアイドルグループ、god(ジーオーディー)を脅かす存在へと躍り出る。
2004年の韓国音楽界は、R&Bやソウル、ヒップホップが主流になりつつあり、ダンス音楽に対する評価は比較的低かったと言える。
その傾向を意識したのか、東方神起はミディアムテンポの『HUG』をデビュー曲として選んだのだが、この戦略がズバリ的中! 本作は、MP3という音声ファイルの普及により、アルバム販売が不況期に突入した年だったにもかかわらず、24万枚の販売高を記録する。
これは新人アイドルとして、しかもシングルアルバムだったという事を勘案すると、驚異的な数字と言わざるを得ない。
『HUG』の人気で、大きなファンダムと国民的知名度を手に入れた東方神起は、その後『The Way U Are』『Rising Sun』『O-正.反.合.』などを発表。カリスマ溢れる、ダンスアイドルとしての本領を発揮する(もちろん、5人の見事なハーモニーが堪能できるバラードも発表した)。
K-POP成功の教科書
東方神起の快進撃は韓国国内にとどまらず、日本や中国、東南アジアでも人気に火が付いた。彼らの成功に刺激を受けた当時のプロデューサーたちは、東方神起という”K-POP成功の教科書”を猛研究し、海外で活躍する男性アイドルを次々と輩出する。
18年が経った今も、K-POP界を動かしているプロデューサーに大きなインスピレーションを与え続けている東方神起‥1月14日は、彼らの歴史が動き出しただけでなく、K-POPの歴史も動かした記念すべき1日なのである。
TVXQ! 동방신기 ‘Hug’ MV`(動画出典:Youtube SMTOWN)
東方神起
東方神起(TVXQ)は、チャンミン、ユンホによる韓国出身の男性デュオ。
レコード会社兼芸能事務所のSMエンターテインメントに所属し、韓国や日本を中心に活動している。
2010年までは5人組ボーカルグループで活動していたが、2009年7月メンバーのうちジェジュン、ユチョン、ジュンスの3人が所属事務所に対する専属契約効力停止の訴訟を起こし、5人での活動が無期限休止され、翌2011年1月のカムバック以降はユンホ、チャンミン2人で活動している。
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