- K-POPの“純血主義”を訴える韓国国民の要望が後を絶たない。
- エンターテインメント企業にとっては、グローバルにおけるさらなる躍進のためには、旧態に縛られてはならない。
- リソースとノウハウは“韓国産”であるが、製品は“現地生産”を目指すという戦略が本格化している。
K-POPを先導する大手エンターテインメント企業には、1つ悩みがある。
K-POPの“純血主義”を訴える韓国国民の要望にどこまで応えなければならないかという点だ。
韓国国民にとってK-POPが持つ意義は、まるで最先端の“半導体技術”のようで、その技術を海外に持ち込まれる事を望ましく思わない。
K-POPや韓国ドラマの成功により、国際社会で存在感を増し、大幅なステータスアップを目の当たりにしたためだ。
だからなのか、彼・彼女にとってK-POPは、韓国人を起用した“韓国の音楽”でなければならない。まさに上述した“純血主義”なのである。
日本でNiziUを輩出した『虹プロジェクト』が開催された2020年、JYPエンターテインメントのパク・ジニョンは「韓国固有の技術を日本に持ち込んだ破廉恥な人」と、批判に直面したほど。
しかし、エンターテインメント企業にとっては、グローバルにおけるさらなる躍進のためには、“韓国人オンリー”という旧態に縛られてはならない。
K-POPが、約20年間培ってきた成功方程式を、世界各国で根を下ろさせ、より大きなビジネスチャンスを生まなければ、いずれ成長動力を失ってしまうのである。
そして近年各社は、韓国国内の批判をものともせず、積極的なグローバル拡張の姿勢を見せている。リソースとノウハウは“韓国産”であるが、製品は“現地生産”を目指すという戦略の下、従来のK-POPの定義を書き換えようとしている。
その先頭に突如名乗りを上げたのが、新生エンターテインメント企業、タイタンコンテンツ(TITAN CONTENT/2023年4月設立)。
同社は、SMエンターテインメント出身のK-POP専門家を中心に、2028年まで計4組のグローバルアイドルグループと、2人のソロアーティストのデビューを目標と掲げ、米カリフォルニアで設立された。
タイタンコンテンツの挑戦は、ビルボードやバラエティーなど、アメリカ現地の有力メディアにも大々的に報じられ、K-POPのコンテンツパワーを伺わせている。
また、BTSやNewJeansを擁する最大手HYBEは、2年間に及ぶオーディションプログラムの末、6人組ガールズグループKATSEYE(キャッツアイ)のお披露目を控えている。同グループの韓国人メンバーはたった1人で、アメリカ3人、フィリピン1人、スイス1人という構成になっている。
NiziUの輩出で、いち早くローカライズに成功したJYPエンターテインメントも6人組ガールズグループVCHAのデビューを目前としている。同グループにも韓国人メンバーは1人(しかも、アメリカと二重国籍)だけ。アメリカ4人、カナダ1人という、北米市場を狙った枠組みだ。
このような試みに対して、依然として反対の声が多い中、韓国国内でも変化の兆しが見えはじめている。
「純血主義=ガラパゴス化」という理屈を基にした、世界でK-POPが主流ジャンルに定着するためには「偏狭な国粋主義から脱却しなければならない」と主張する者も徐々に増えているようだ。
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