誰しも一度くらいは、読んだことがあるであろう“童話”。

教訓やメッセージ性の高いものも多く、子どもの時には気づきにくいが、人間の本質に迫る内容で奥深いのが特徴だ。

また、たとえ夢のような美しい世界観で描かれていても綺麗ごとばかりではなく意外にリアル。登場人物には何かしらの精神的痛みが伴う場合も少なくなく、最後には、読み手をそっと救って癒してくれる。

韓国ドラマのヒーリング作品と類似した部分が多く、現にいくつかのドラマは“童話のようだ”と言われることも。

夏が終わり秋の訪れとともに、感傷的になりやすい季節がもう少しでやってくる。疲れた心をそっと包んでほしいなら、童話を彷彿とさせるヒーリング韓国ドラマがおすすめ。Netflixで配信中の作品で、日本で高評価を得たものを紹介する。

アンナラスマナラ －魔法の旋律－ (Netflix/2022)

『アンナラスマナラ －魔法の旋律－』は、韓国のNetflixオリジナル作品としては初となるファンタジーミュージックドラマ。厳しい現実に直面して夢を失ってしまった高校生が、魔術師との出会いによって成長し、再び夢を見るようになっていく。

魔法が、重く暗い日常をしばしの間忘れさせて、登場人物はもちろん視聴者にも癒しをプレゼント。夢と希望を失わないことの大切さまで、そっと教えてくれる。

ホテルデルーナ～月明かりの恋人～ (tvN/2019)

『ホテルデルーナ～月明かりの恋人～』は、幽霊が滞在するホテルの支配人を務めることになった男性と、1300年以上生きる気難しい女社長のファンタジーロマンチックコメディー。

未練を残してこの世を去った様々な事情を持つ幽霊たちが互いに慰め合い、癒される過程を通して、心の平和を取り戻していく。人生とはなにか、その理由を考えさせ希望を与えてくれる1作だ。

君は天国でも美しい (JTBC/2025)

『君は天国でも美しい』は、80歳で人生を終えた妻と彼女よりも先にこの世を去った夫が、天国で再会して始まる物語。命を全うした後も、愛と縁が永遠に続いていくファンタジックなヒューマンドラマだ。

天国での新生活を通して生前の傷と向き合い互いを理解していく様は温かく、夫婦愛が美しい作品。死が終わりではなく始まりとしてとらえられており、心の痛みに目を背けるのではなく、向き合うことで心が癒され、痛みから解放されることを教えてくれる。

ナビレラ －それでも蝶は舞う－ (tvN/2021)

『ナビレラ －それでも蝶は舞う－』は、バレエに夢を見出した70歳の老人と、スランプに陥った才能あふれる23歳のバレエダンサーとの、心の交流を描いた感動作。バレエという共通の夢を通して互いに刺激し合い、時に助け合いながら人生の宿題と向き合っていく。

青年と老人の姿を対比させた構成が、人生というものを視聴者に考えさせると同時に、両者が内面的成長を遂げていく姿に心を打たれる作品。やり取りを見ているだけで穏やかな気分になることができ、年齢はもちろん境遇も全く異なる両者が夢を諦めずに挑戦し続けることの大切さを観る者に伝える。

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌 (ENA/2022)

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、自閉症スペクトラム症を抱える弁護士の成長と活躍を描いた法廷ドラマ。主演パク・ウンビンの熱演が大きな話題となり大ヒットを記録した、韓ドラ史に残る名作の1つ。

日常生活を送るうえで主人公が感じる困難と、それを克服しようと努力する姿が、多くの人の心を癒し、ひいては多様性までも肯定的に示した作品。ありのままの自分を受け入れたり、他社を理解したりすることの大切さを伝えながら、そっと寄り添ってくれる作品だ。

サイコだけど大丈夫 (tvN/2020)

『サイコだけど大丈夫』は、本記事で紹介しているドラマのなかでも特に、童話を彷彿させる作品として、多くの人に知られるロマンチックコメディー。主人公が童話作家で劇中に童話が登場するのはもちろん、物語自体も観る者に癒しと勇気を与える内容になっている。

登場人物が心の傷と向き合い苦しむ姿は痛々しいが、不器用ながらも少しずつ前に進んでいく様は、観る者の心まで救ってくれる。また、人との関りのなかで、気づかぬうちに慰められている様子が、温かでほっこりさせられるワンシーンもあり、いつまでも深い余韻を残す作品だ。

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