韓国女優のユン・ヨジョンが『第93回アカデミー賞』にて助演女優賞を獲得し、韓国映画史に輝かしい歴史を刻んだ。この話題とともに、”チョ・ヨンナム”なる人物にも注目が集まっている。ユン・ヨジョンにまつわる人物らしいが、彼は一体どんな人物なのだろうか。
あらゆる映画祭で称賛を浴びた、リー・アイザック・チョン監督の映画『ミナリ』。
ここに出演した韓国女優のユン・ヨジョンが『第93回アカデミー賞』にて助演女優賞を獲得。韓国人俳優の助演女優賞受賞は初の快挙とあって、昨年のアカデミー賞を賑わせた『パラサイト 半地下の家族』に続き、韓国映画史に残る偉業を成し遂げている。1980年代、アメリカに移住した韓国人家族の暖かく切ない”物語”は、ユン・ヨジョン、彼女の”過去”でもある。
ユン・ヨジョンのオスカー獲得で注目を集めた人物
ユン・ヨジョンが日本をはじめ海外の映画ファンから注目を浴びているなか、ともに話題となっているのが”チョ・ヨンナム”という彼女にまつわる人物だ。
優れた音楽性を持った韓国の歌手として大衆に名を知らせた、チョ・ヨンナム。
現在75歳(日本年齢)の彼は、1960年代にデビューし、韓国のポピュラー音楽と声楽を歌謡曲に取り入れて一躍スターになった歌手だ。
本業の音楽だけでなく、作家、画家、放送人、ラジオDJなど多方面で活動してきた。しかし、現在ではセクハラやゴースト画家事件など、数々の不祥事でトラブルを生み続ける”トラブルメーカー”として有名な人である。
実はこの方、オスカー女優のユン・ヨジョンの”元夫”なのだ。
1971年、チョ・ヨンナムは兵役の途中知り合った女優のユン・ヨジョンと結婚。その後、チョ・ヨンナムが留学することになり、2人はアメリカで13年間の結婚生活を送ることになる。
実は、チョ・ヨンナムは昔から悪名高いプレイボーイだった。結婚してからもその癖を直すことが出来ず、さらにお金を稼ぐこともなく、結局はユン・ヨジョンの貯金を使い果たしてしまったそうだ。
米びつにお米が無かった日も多く、それでもユン・ヨジョンはチョ・ヨンナムに対し献身的だった。当時、アメリカで豆腐は手に入りにくく、ユン・ヨジョンは豆腐が好きだったチョ・ヨンナムのために一から豆腐を手作りしていたという。
ユン・ヨジョンにとって結婚生活はトラウマ
その後、韓国に戻った2人は離婚。別々の道を歩むことになった。
ユン・ヨジョンは演技活動を再開し、2人の息子と自分を守ろうとあらゆる作品に飛び込む。結婚前から実力派女優として活躍していた彼女は、映画やドラマを行き来し、努力を重ねた結果、再び人気女優として人々から愛される存在になった。
一方、チョ・ヨンナムは離婚後も、忙しいほど多くの女性たちと浮名を流し、1980年代には女性誌によく名前が載っていた。彼自身はこれを”自由恋愛”や”結婚制度に対する実験”だと言い訳をしたが、人々の反応はかなり冷ややかだった。
このような素行の芸術家であるチョ・ヨンナムゆえ、伴侶として十数年過ごした結婚生活はユン・ヨジョンにとってトラウマになってしまったそうだ。
離婚後、メディアにはお互いの名前を出さない約束をしていたそうで、今でもチョ・ヨンナムのことを悪く言わないことから”大物”と呼ばれたりもするユン・ヨジョンだが、実はチョ・ヨンナムのことがあまりにも憎くて、あの時代の話を口にしたくないという。
実際、チョ・ヨンナムも「ユン・ヨジョンが口を開いたなら私は社会的に葬られただろう」と認めたことがあり、現在まで公開されているチョ・ヨンナム本人が認めたエピソードだけでも、彼は国民から”人間のゴミ”とまで悪口を投げられるほどだそう。
今回、ユン・ヨジョンがこれまでの重ねてきた努力の末、オスカー獲得となったことについて、チョ・ヨンナムはあるインタビューで「不意打ちを食らった」と発言。冗談なのか本気なのか、ユン・ヨジョンの元夫への復讐だと言わんばかりの発言に、国民からは自己中心的な考え方だとバッシングを浴びる結果に‥。
このような夫との結婚生活から、映画『ミナリ』のストーリーが彼女の半生を描いているようだとの声も聞かれており、本作はユン・ヨジョンにとって自分の物語でもあったようだ。トラウマだった結婚生活を、映画とは言えもう一度描くことは、ユン・ヨジョンにとって少々ハードだったのではないだろうか。
しかし、それを乗り越えて優れた演技を披露し、結果、韓国映画史に残る快挙となるオスカーを手にしている。
絶え間ない努力で積み重ねてきたキャリアと演技力、そしてオスカーのスピーチで見せた思慮深いマインド。ユン・ヨジョンなる人物は、女優としてだけでなく、1人の人間としてとてつもなく偉大だということも世界にアピールできた授賞式だったように見える。
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