韓国ドラマや韓国映画を見ていると「この名前はどうやって付けられたのだろう?」と疑問に思ったことがある人もいるのではないだろうか。日本で使用されている苗字は、30万種類。そのうち96%をカバーしているのが7000種類と言われているが、韓国で現在使用されている苗字は286種類ほどである。
印象に残る作品は、ストーリーはもちろん登場人物の役名も心に残るもの。
最近放送が終了した日本の人気ドラマ『MIU404』(TBS)の主演2人(綾野剛&星野源)の役名(伊吹藍&志摩一未)には、「虚数の”i”と”1未満”、両方1に満たない数字」という共通点があったことをドラマの脚本家がラジオで話し、話題になった。
特にキャラクターの役名をつけるための決まった法則はないようだが、今回は韓国ドラマの役名にまつわる”あるある話”を集めてみた。
まずはドラマ制作関係者の名前を役名にしたケースを紹介する。
日本でも大ヒットしたtvNドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』(2016)の主人公キム・シン(コン・ユ)。もしかすると、この名前に聞き覚えのある人がいるかもしれない。実は、キム・シンという名は『トッケビ』の脚本を担当したキム・ウンスク作家と、SBSドラマ『オンエアー』(2008)で一緒に仕事をした俳優、故パク・ヨンハさんに関連している。
故パク・ヨンハさんが出演した最後のドラマとなってしまったKBSドラマ『ザ・スリングショット〜男の物語』(2009)で、彼が任された主人公の役名が、キム・シンだったのだ。
キム・ウンスク作家は、トッケビの制作発表会で「他の作品で使われた名前をもう一度使うことはあまりないが、意味のある名前なので監督にキム・シンを使いたいと話した」と明かしている。このような経緯で、2つのドラマの主人公の名前が同じ名前となった。
さらにキム・ウンスク作家は、SBSドラマ『紳士の品格』で、主人公4人の男性の初恋相手の名前をキム・ウニと付けたが、この名前は、tvNドラマ『シグナル』(2016)やNetflixドラマ『キングダム』(2018)などで有名な作家キム・ウニが由来している。実はキム・ウンスク作家とキム・ウニ作家は、友人同士だそうだ。逆にキム・ウニ作家も、SBSドラマ『ファントム』(2012)の登場人物の役名にキム・ウンスクと付けたことがあるほどで、2人の仲の良さがうかがえるエピソードだ。
また俳優の名前を役名にしたケースも意外と多い。
ヒョンビンとソン・ヘギョが、共演後に付き合ったことでも話題になったKBSドラマ『彼らが生きる世界』では、テレビ局の助監督としてキム・ミニという役名が使われた。見た目は美しいが、言動が男らしいので”キム君”と呼ばれているキャラクターだ。これはファッショニスタで女優のキム・ミニと同名で、役名を聞くと、なんとなく女優キム・ミニのイメージが浮かんでくる、そんな名前だ。
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また別の登場人物である助監督に、ヤン・スギョンという役名が使われたが、1990年代初頭に日本へ進出し、ドラマ『過ぎし日のセレナーデ』(1989)の主題歌『愛されてセレナーデ』のヒットで有名になった人気歌手、ヤン・スギョンと同じ名前だった。さらに、主人公のチョン・ジオ(ヒョンビン)の元恋人役の名はイ・ヨニで、このドラマと同時間帯に放送されていたMBCドラマ『エデンの東』にヒロイン役で出演していた女優イ・ヨニと同名であった。
韓国は使用されている苗字も比較的少なく、人気のある名前は他の人とかぶる場合が多いため、役名がたまたま芸能人と同じ名前になってしまうことは、よくあることなのかもしれない。また芸能人だけでなく、一般人と同じ名前になることもあるだろう。
そして、視聴者に強烈なインパクトを植え付ける役名にするケースもある。
特定の俳優を思い浮かべると、その俳優が演じた劇中での名前が先に思い浮かぶような、そんな役名だ。
2005年に放送された『私の名前はキム・サムスン』は、まさにその典型だった。主人公のサムスンは、30代のオールドミス。自分の名前がダサいからと改名手続きまでしてしまうほど、自分の名前が嫌いだった。
タイトルにもなっている”サムスン”という名前は、3番目の末っ子という意味があり、日本でいうと例えば”末子”、男性の名前だと”三郎”のようなイメージだろうか。最近ではあまり付けられない珍しい名前だ。
2000年代に入ってからは、特にスタイリッシュな名前の付け方が主流だったが、このドラマが視聴率50.5%という驚異の数字を叩き出したため、役名はスタイリッシュさよりも、インパクトが大事だということを証明した。そしてこの名前は、サムスンを演じた主演女優キム・ソナの代名詞となった。
今後は韓国ドラマの視聴方法として、ストーリーを楽しむだけでなく役名にも注目してみると、色々な面白い事実が発見できるかもしれない。
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コン・ユ
マネジメントSOOP所属の俳優コン・ユ(ハングル 공유)。1979年7月10日生まれ。
“コン・ユ”という芸名は両親の苗字から付けられたもので、本名は、コン・ジチョル。
2000年、Mnet VJ 7期として芸能界にデビューしたコン・ユは、2001年KBSドラマ『学校4』を通じて演技者としてデビュー。
2007年、日本でも人気を博したドラマ『コーヒープリンス1号店』が大ヒットし、この年MBC演技大賞で優秀賞を受賞。当ドラマは、コン・ユの出世作となった。
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