同年10月からは、フジテレビ系列でSBS『天国の階段(2003)』の放送が開始。NHKに続き、地上波で韓国ドラマが楽しめる機会が増えた。

あれから19年、今やスマホで気軽に韓国ドラマが見られる時代に。

名作と語り継がれる作品は数多く存在するが、今回はその中から、アジアで絶大な人気を誇ったレジェンドドラマ、SBS『星から来たあなた(2013)』をご紹介する。

SBSドラマ『星から来たあなた(2013)』(画像出典：SBS)

ドラマ誕生のきっかけは、400年前の史実？

『星から来たあなた』は、2013年12月に韓国で放送開始となった。

このドラマは、朝鮮王朝の実録に記載されている、ある奇妙な出来事からインスピレーションを受けているという。

それは1609年の秋のこと。韓国の北東部にある江原道(カンウォンド)の杵城(カンソン)、原州(ウォンジュ)、春川(チュンチョン)、襄陽(ヤンヤン)、江陵(カンヌン)などで、ほぼ同時刻に正体不明の飛行物体が出現した。

目撃者の証言によると、突如現れた謎の飛行物体は、ひょうたんやたらいのような形をしていて、雷のような轟音を出しながら、明るい光を放っていたそうだ。

このドラマは、そんな大昔の目撃情報から発想を飛ばし、「その物体は、朝鮮半島に飛んできたUFOだった？」「もし400年前、UFOに乗ってやって来たエイリアンが、まだソウルに住んでいるとしたら？」という企画設定から始まった。

ということで、ドラマの主人公は、400年前に地球に来て、1人取り残されてしまった“宇宙人”。

この宇宙人のト・ミンジュン役を務めたのが、キム・スヒョン。彼は、見た目は普通の人間で大学の講師でありながらも、実は超能力を持つという一風変わった役柄を演じ、ツンデレの魅力で多くの視聴者の心を掴んだ。

彼はこの作品を通して、人気だけではなく多くの賞も獲得し、俳優としての地位を確立。さらには、アジアスターとして仲間入りを果たすことになった。

劇中で、宇宙人役を演じたキム・スヒョン (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

中国では、“チメク”が大ブームに！

ドラマの内容は、正体を隠して地球に住んでいる宇宙人と現代のトップ女優とのロコ(ロマンティックコメディー)。

キム・スヒョンの相手役を務めたのは、女優のチョン・ジヒョン。生意気だが、どこか憎めないキャラクターを演じた。

見所の一つは何と言っても、2人の掛け合い。キム・スヒョンの役が超能力を使える設定のため、ファンタジー要素も盛り込まれているが、主演2人の好演により違和感なく楽しめる。

韓国では、初回の視聴率が15％を超え、同時間帯の視聴率1位を記録。その後も人気をキープし、最終回の最高視聴率は、28.1％という驚くべき数字を叩き出した。

この人気は韓国だけにとどまらず、アジアへと広がっていく。特に中国では凄まじい人気に。

当時、鳥インフルエンザの影響で経済に大打撃を受けていた中国では、劇中に登場した*“チメク”文化が広がり、その危機を救ったとも言われているそう。

*チメク(치맥)：フライドチキン(치킨/チキン)とビール(맥주/メクチュ)のセットで食べることを意味する造語

中国の動画サイト5つを合わせた再生回数は、なんと20億回を突破。ドラマが、一種の社会現象をもたらしたと言っても過言ではない。

日本やタイでリメイクも

ドラマの人気ぶりは世界に広まり、2014年9月には、アメリカ最大の放送局ABCがリメイクを制作するというニュースが話題となった。

しかし、期待が寄せられたアメリカ版は、制作準備が難航。結局、翌年にリメイクが白紙になったことが伝えられた。

アジアでは、2019年にはタイで、2022年には、日本でリメイク版が制作されている。

日本版『星から来たあなた』は、2022年2月からAmazonオリジナルドラマとして配信が開始。俳優の福士蒼汰と山本美月が主人公を務めている。

リメイクとなると、どうしても本家と見比べてしまうため評価が難しいが、ドラマの設定がおもしろいだけに、日本の俳優陣の演技は気になるところ。

本家をご覧になった方は、韓国版とどこが違うのか、細かな設定に注目して見るのはいかがだろうか。

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