韓国にて映画やドラマ作品が数多く制作されている歴史上の人物、第3代国王 イ・バンウォン。今月11日より、彼を題材にした新大河ドラマ『太宗 イ・バンウォン』がスタートする。現在も国民を魅了する”イ・バンウォン”はどのような人物なのだろうか。
韓国国民に人気の高い歴史上の人物である、李氏朝鮮の第3代国王 イ・バンウォン(李芳遠/り・ほうえん)。
彼を題材にした大河時代劇『太宗イ・バンウォン』が、12月11日より放送をスタートする。韓国の放送局KBSが5年ぶりに制作する大河ドラマとあって、視聴者からは大きな関心が寄せられている作品だ。
このドラマは、高麗という旧秩序を崩し、朝鮮という新しい秩序を作り上げていった”麗末鮮初”の時代に、誰よりも朝鮮の建国に尽力したリーダー、イ・バンウォンの姿を、新たなスポットを当て描いていく。
俳優のチュ・サンウクが主人公イ・バンウォンを演じ、これまで数多くの作品が制作された”イ・バンウォン”なるキャラクターを、従来とは異なる新たな視点から見つめた姿で描き出す予定だ。
第3代国王イ・バンウォンの人物像
第3代国王イ・バンウォンとはどのような人物なのか。
イ・バンウォンは、李氏朝鮮(朝鮮王朝)の全盛期を築き上げた国王としてだけでなく、ハングルの創製をした第4代国王のセジョン(世宗)の父としても知られており、現在も多くの韓国人が知る歴史上の人物。
しかし、彼が国王の座に着くまでには、思わず目を覆ってしまうような犠牲があった。
幼い頃から聡明だった彼は、他の兄弟に比べて有力な後継者に浮上。しかし、継妃や功臣らの牽制により王世子に選ばれず、これに不満を抱いたイ・バンウォンは乱を起こし、功臣はじめ世子である兄弟らを殺害した。
その後、兄である定宗が擁立するが、政治的実権を握ったイ・バンウォンは兄である懐安君の反乱を鎮圧したのに続き、定宗をも圧迫。イ・バンウォンは定宗から譲位され、自らが王位を継承する第3代国王となった。
この結果、イ・バンウォンに対抗できる政治勢力がなくなり、朝鮮王朝の基盤が固まったと言われている。
イ・バンウォンの知られざる一面
朝鮮王朝の基盤を作ったとして敬われながらも、権力の基盤を作るために兄弟や功臣らの命を奪った王としても知られているイ・バンウォン。
多くの人を死に追い込んだことから、歴史の中の彼のイメージは”殺し屋バンウォン”と言えるだろう。しかし、実は文武を兼ね備えた人物で、武人集団である李成桂の家族の中で唯一、科挙に及第した文人だ。
彼が”殺し屋バンウォン”というイメージを持つようになった理由は、まさに理想的な朝鮮を作るためだった。
王位継承までの残忍な一面が広く知れ渡っているが、素顔は涙もろい一面もあったそうだ。また、名分なく人を殺したことはなく、乱を起こしたとしても責任がなければ処刑しないといった、人間性の高い人物としても知られている。
これまで数多くの作品に登場したイ・バンウォン。新ドラマでは
これまで、イ・バンウォンを扱った映像作品では、彼を独裁者や野心家といった姿で描かれていた。だが、新ドラマ『太宗イ・バンウォン』では、これまであまり知られていない彼の人間らしい一面や、彼の家族の話も盛り込まれる予定だ。
ドラマの制作側は「イ・バンウォンは歴史が自分に与えた使命を黙々と全うして去った人物」とし「最初から栄光は他人のものであり、自分はただの踏み台になるべきだということをよく知っていた。”人間”イ・バンウォンの人生は私たちが深く考えるべき命題を投げかけている」と語っている。
これまで数々の作品で”イ・バンウォン”が描かれてきた。
ユ・アイン(SBS『六龍が飛ぶ』)、イ・ジョンギル(MBC『朝鮮王朝五百年』)、ユ・ドングン(KBS『流の涙』)、キム・ヨンチョル(KBS『大王世宗』)、ペク・ユンシク(SBS『根の深い木』)、アン・ジェモ(KBS『鄭道伝 チョン・ドジョン』)など、カリスマ性の高い”漢”のイメージを持つ俳優が、イ・バンウォン役を演じてきた。
このことから、新ドラマ『太宗イ・バンウォン』では、演技スペクトルを持つ俳優チュ・サンウクが従来とは違うイ・バンウォンの姿をどう描き出すのか、多くの期待が寄せられている。
一方、KBS『太宗イ・バンウォン』は、韓国にて12月11日夜9時40分より放送がスタートする。
KBS『太宗イ・バンウォン』予告ティザー(画像出典:Youtube KBSドラマ)
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