- Mnetのオーディション番組『PRODUCE』シリーズのアン・ジュニョンプロデューサーが古巣に復帰。
- 2019年当時、投票順位の不正操作など大きな波紋を呼んだ事件の当事者だった彼は、懲役2年の実刑を宣告された。
- どうやらMnetには、「悪魔の編集」と呼ばれる彼の才能が必要不可欠のようだ。
Wanna One(ワナワン)や、IZ*ONE(アイズワン)といった“期間限定”で活躍する人気グループを次々に誕生させた、Mnetのサバイバルオーディション番組『PRODUCE』シリーズ。
日本でも爆発的な人気を誇った番組だが、シリーズ第4弾『PRODUCE X 101(プデュX / プエク)』終了後、制作陣による視聴者投票順位の不正操作などが明るみとなり、大きな波紋を呼んだ。
2019年当時、目覚ましい活躍を見せていたIZ*ONEまでをも巻き込んだこの事件は、今もなお記憶に新しい。
ところが、この”投票操作”を行ったとして実刑判決を受けたアン・ジュニョンプロデューサー(以下、アンPD)が、Mnetに再入社したとの驚きのニュースが入ってきた。
物議を醸した人物の古巣への復帰を巡り、韓国ネットを中心に議論が巻き起こっている。
4月3日、Mnet側は、アンPDの再入社について「過去の過ちに対する凄絶な反省、Mnetと個人の信頼回復のために役割を果たしたいという切実な意志を考慮し、もう一度機会を与えることにした」と伝えている。
番組の投票順位を操作して詐欺と業務妨害などの疑いで懲役2年の実刑を宣告されたアンPDは、2021年11月に出所。それから1年5カ月ぶりに、同社の音楽事業部に戻ってきたことが確認された。
韓国メディアによると、Mnetは「アンPDの再入社は就業規則上に大きな問題がなく、内部懲戒措置まで全て終わった状態」と説明したという。
しかし、世間はザワザワ。ネットユーザーは「再入社させるなんて、会社としてどうなの?」「ありえない!」「PDだけではなく、Mnet組織自体が“黒”」と批判している。
「視聴者投票」と謳った人気番組が失態を犯し、多くの視聴者と番組参加者を傷つけただけに「公正性が話題の時代で順位操作を軽く考えているようだ」という指摘も。
さらには「(アンPDの再入社は)最初から約束されていたものだったのでは?」と疑惑を呈する声も上がっている。
Mnet側も「彼を復帰させれば、様々な憶測や物議が起きる」という事態は予測していただろう。
しかし、そのリスクを冒してまでも彼を呼び戻したい、それだけの理由があるようだ。
アンPDは過去に「クリエイターとは、できないことをできるようにする人」と語ったことがある。
彼が担当したほとんどの番組は、視聴率も話題性も抜群、番組を通じて誕生させたグループも成功に導いてきた。
しかし韓国ネットでは「多くの視聴者が、悪口を言いながら番組を見ている」と指摘する。アンPDの番組は、話題性とともに常に議論も生んできたのだ。
その理由は、彼の能力が発揮される「悪魔の編集」にある。これはオーディション番組でよく見られる光景だが、彼が元祖と言われている。
それはまず、参加者の“分量問題”。番組内では、スポットライトを当てるべきメンバーは長く出演、他の子は容赦なくカット。
『PRODUCE』シリーズは、オーディションに参加する練習生を平等に映すのではなく、何人かの特定メンバーに偏った編集が取られている。
また、分けられたチーム内で率直に意見を出し合うシーンでは、誰かが“悪者キャラ”に仕立て上げられることも。メンバー同士の衝突や争いを演出するような編集を行い、視聴者の興味を引くだけではなく、ファンの葛藤を煽るような展開に仕立てる。
そんな「悪魔の編集」は批判につながることが多いけれど、自身の応援するメンバーへの熱量がぐんと増え、視聴率も話題性もぐんぐん上昇するのは事実なのだ。
しかし、アンPDのMnet復帰により、不安を抱えるK-POPファンもいる。
今、IZ*ONE出身のメンバーが、IVE(アイヴ)やLE SSERAFIM(ル・セラフィム)といった人気グループで快進撃を見せているからである。
実はLE SSERAFIMの宮脇咲良(以下、サクラ)は、「悪魔の編集」の被害者の1人。
彼女は長年、ネット上での誹謗中傷に苦しめられているが、『PRODUCE 48(2018年6月15日~同年8月31日まで放送)』に参加した当時、韓国人の練習生を応援していたネットユーザーが、すでに日本で人気アイドルだったサクラを中傷。それが発端となり今日まで続き、増幅していると言われている。
番組内では、サクラの発言を、多少刺激的な韓国語字幕で流すなど、番組の話題性のために”炎上商法”が使用されたという見解も。
(関連記事) 宮脇咲良のアンチを野放しにしている韓国芸能界「誰が彼女を守るのか」
そのため一部のファンの間では、物議を醸した人物に対する批判が、事件発覚当時も騒動に巻き込まれた彼女たちに再び“飛び火”するのではないかと不安感を示している。
良くない過去が蒸し返されて議論になるのは、ファンやアーティストにとって望ましくないこと。だからこそ、アンPDのMnet再入社に対する批判の声が強まっているのだ。
しかし彼は、古巣Mnetにとって、他の会社には渡したくない“代替不可”の存在。
韓国では、人間としての評判はさておき、才能だけを高く評価する時に「悪魔の才能を持つ」という表現が用いられる。
プロデュースと編集能力に長けた彼の“悪魔の才能”が、Mnetには必要不可欠なようだ。
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