- BTS(防弾少年団)SUGAが、日本でのコンサートを成功裏に終えた。
- 現在、ソロでは初のワールドツアー開催中の彼は、世界中のファンを熱狂させている。
- しかし3年前、発表したミックステープの楽曲を巡り議論が勃発、当時のソロ活動は順風満帆とは言えなかった。

日本で単独コンサートを行った、BTSのSUGA (画像出典:BTS 公式Twitter)
ソロアーティストとして、初のワールドツアー真っ只中のBTS(防弾少年団)SUGA。
彼は今、世界中のARMY(アーミー:BTSファン名称)を熱狂させている。
ツアータイトルは『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’』。アメリカを皮切りに、インドネシア、日本、タイ、シンガポール、そして最後はソウルで行われる。
6月2日から3日間は、日本で単独コンサートを開催。コンサートの模様は、ライブビューイングやオンライン配信も行われ、公演会場のファンはもちろん、画面越しのファンも大きな歓声でコンサートを盛り上げた。
SUGAは、今年(2023年)4月、ソロ名義の“Agust D”で初のソロアルバム『D-DAY』をリリース。本アルバムは、2016年リリースのミックステープ『Agust D』と、2020年の『D-2』に続く、Agust Dのトリロジー(三部作)の最後を飾る。
メイントラックは『해금(ヘグム/解禁)』。タイトル名と同じ韓国の伝統楽器“ヘグム(奚琴)”のサウンドを活用した楽曲となっている。
2020年5月22日に公開したミックステープ『D-2』のタイトル曲『Daechwita(대취타/大吹打)』も、朝鮮時代の韓国の伝統軍楽である“大吹打”をサンプリングした曲。
パンソリ(韓国の伝統的民俗芸能)から始まるMVでは、SUGAが金髪のロングヘアーに韓服という斬新なスタイルで登場し、強烈なラップを炸裂させている。
『D-2』は、米ビルボードのメインアルバムチャートである“ビルボード200”で11位にランクイン。これは当時、韓国ソロ歌手のアルバムとして最高記録だった。
しかし3年前、SUGAが快挙を成し遂げた裏では、いくつかのネガティブな議論が浮上していた。

3年前、SUGAのミックステープ収録曲を巡り、議論が勃発 (画像出典:BTS 公式Instagram)
それは、『D-2』の収録曲『What do you think?』に盛り込まれた、ある音声を巡る議論。
この曲の導入部に、アメリカのキリスト系新興宗教(カルト)の教祖であるジェームス・ウォーレン・ジム・ジョーンズの1977年に演説された音声が引用されていることが明らかとなったのである。
使用されたのは「あなたは死んでも生きるだろう。生きて信じる者は決して死なない(Though you are dead, yet you shall live, and he that liveth and believeth shall never die)」という部分。
問題になった理由は、ジム・ジョーンズが1950年代にアメリカに“人民寺院”という新宗教を作った人物で、1978年には信者たちに服毒自殺を強要し900人余りを死に至らせた、別名“ジョーンズタウン大虐殺”を起こした人物だったからだという。
当時、所属事務所BigHitエンターテインメントは「導入部の演説サンプリングは、プロデューサーが特別な意図なく、演説者が誰かも知らない状態で、曲全体の雰囲気を考慮して選定した」と説明。
「アーティスト本人も、予想もしなかった部分で問題が発生したことに対して困惑し、深く責任を感じている」とSUGAの様子を伝え、「問題点を確認した後、該当部分を直ちに削除して再発売した。今回の事例を教訓に、全ての制作過程をさらに綿密に点検する」と伝えた。
しかし、事務所が公式立場を示しても、彼や事務所への批判は収まらず、しばらく論争が続いた。

『D-2』のイメージティーザー写真より (画像出典:BTS 公式Instagram)
また当時、SUGAの発言が物議を醸した。それは、動画配信サービス V LIVEで発した「コロナのおかげ」という表現だったよう。
この日、彼は『D-2』のレビューを行い「もともと『大吹打』と『Set Me Free』の代わりに、『skit』と『Interlude』を入れた10トラックの予定だった」とビハインドを紹介し、「コロナがもたらした幸運」「コロナの“せい”ではなくコロナの“おかげ”。多分ツアーをしていたら、MVも撮れなかったと思う」と伝えた。
実は、2020年4月から開催予定だったBTSのワールドツアーは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、全面中止となっている。その結果、SUGAは『D-2』の収録曲を変えることができ、『大吹打』のMV撮影もできたのだ。
一連の映像を見れば、彼の意図したかった発言のニュアンスは伝わるものの、「おかげ」という表現したことで、“不適切”という指摘や否定的な反応が相次いでしまった。
さらに、この日の配信では「僕は音楽に罠を仕掛ける。家でもゴキブリが出たら捕まえるために罠みたいものを仕掛ける。そしたらゴキブリは出て来て死ぬ」と話し「『What do you think?』と『大吹打』は罠だ」と伝える。
そして「何にも学習できないみたいだな。ここまで来たら学習してもいいと思うんだけど。そういう人々は必ず来て罠を踏む。僕はケラケラしながら見ている」と話した。
これはファンに向けてではなく、SUGA自身に対して悪質なコメントをしたり、批判的な対応をするアンチをゴキブリに例えたのではないかと言われている。
しかし、彼の発言は、ジム・ジョーンズのサンプリング問題と共に話題となり、一部の人からの非難を強める結果を生んでしまった。

世界中のファンを熱狂させているSUGA (画像出典:BTS 公式Twitter)
このように、3年前のSUGAのソロ活動は順風満帆とは言えず、議論がつきまとっていた。
しかしBTSは、2020年8月にリリースした『Dynamite』の世界的な大ヒットを受け、今や誰もが認めるグローバルスターに。
SUGAそしてAgust Dを取り巻く環境も変化し、今では世界中を駆け回る、大物ソロアーティストとしての地位を固めている。
日本での単独コンサートも大盛況に終えた今、彼はHIPHOPシーンに大きな足跡を残す活躍を見せている。
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